ストーリーそのものは、単純でわかりやすかったです。初音太夫(ミク)が八重垣紋三(中村獅童)に花魁道中の際、一目惚れ。横恋慕の新右衛門が 紋三に勝負を挑むという三角関係のお話です。 先日観た 鼓童(太鼓G)との共演では、ミクは、いつも舞台センターにいて人との絡みはなかったけど、今回は、生身の人間とどう絡むのか アナログとデジタルの融合に 私は、興味津々でした。 感動シーンを三つに絞ると 一番は、初音太夫の舞踊です。素晴らしかったです! 腰を落とし、手指の動きもしなやかな日本舞踊を見事に表現できていました。着物の裾のわずかな揺れにまでこだわった初音太夫の踊りは、実に色っぽかったです。 太夫の踊りと息がぴったり合っていたのが紋三の踊り。デジタル映像の動きと違和感なく合わせるなど 至難の技! さすが、中村獅童!! 二番目は、デジタル技術を駆使した大立ち回りです。最後の方でわかるのですが、敵役の新右衛門は、青龍の化身、紋三の祖先も白狐とわかり、そこで 時空を超えての大立ち回りとなるのです。 ここぞ デジタル技術力の発揮の場。「分身の術」は、凄かったです。アナログ人間とデジタル人間が同時に登場。これこそ分身の術だと感心しました。 こうした どっぷりのデジタルシーンの中にあっても アナログ歌舞伎の早変わりや大立ち回りそして大見得が独特の輝きを放っていたことは さすが、歌舞伎400年の底力だと思いました。 三番目は、客席の反応です。本当の歌舞伎では、大向こう(屋号の声かけ役)は、決まっているのですが、この会場からは、頻繁(自由)に屋号が聞こえてきて 本来(江戸時代)の姿に戻っていると思いました。サイリウムを振って 踊る姿は、コンサートと同じ乗り。超歌舞伎とは、舞台の側から 一方的にひっぱられる受身鑑賞ではなく、自分たちの持つ感性を総動員して みんなで創り楽しむ参加型。観客が本当に楽しんでいる空気がビンビン伝わってきました。 ひとつ ダメ出し 参加型を目的にしているとはいえ、視聴者から送られるコメントを ずっと画面上に流していたのは、 新しくもあるのですが、煩わしくもありました。 |