カルフォルニア大学サクラメント校を卒業した白人のホップウッドはテキサス大学ロースクウル(全米でも指折りのロースクール)に出願した。入学試験の正解率は85%だったが不合格だった。彼女より点数が低いが合格したアフリカ系やメキシコ系の人(マイノリティ)が何人もいることを知り、差別を受けた…と連邦裁判所に訴え出た。 これに対する判決内容をサンデルは記載していない。 テキサス州では法曹界のマイノリティの割合が非常に低い。すべての市民が法の判断を進んで受けるようにするために(理由は説明されていないが、私の推測では、裁判官や弁護士が白人ばかりなら、マイノリティの人は公平な裁判が行われない…と考えるだろうと思われる。)テキサス大学ロー・スクールでは法曹界のマイノリティの比率をテキサス州でのマイノリティの人口比率(40%)に近づけようとしており、取りあえずマイノリティの合格率として14%を目標にして(これでも人口比率よりは遙に低いが。40%のミスプリかな?)合格基準を低く設定している。 そこで上記のような抗議が起ったのだが、この手の訴訟は多いようだ。 サンデルはかかる人種優遇処置を認める判決を2件引用し、認めなかった判決 は引用していない(ないのかも知れない)。認めた裁判でも裁判官の意見は分かれているようだ。大学の意図が上記のように合理性がある場合は通るようだ。 逆の格差の例もある。 ニューヨークのブルックリンに、約2万人が住むスターレットシティという連邦政府の助成を受けた、アメリカ最大の中間所得者層向け公営住宅がある。 米国では、アフリカ系アメリカ人とヒスパニックの割合が増えて白人の割合がある比率(記載されていないが60%よりは低いのだろう)を下回ると、白人がその町から流出して行くそうだ。 そこで アフリカ系アメリカ人とヒスパニックの割合を40%以下に制限して両者のバランスをとる入居者規制を採用している。そのためにアフリカ系アメリカ人とヒスパニックの入居希望者の待ち日数(待ち年数)は白人のそれよりもかなり長くなっている。不公平だと裁判に訴えた黒人がいたが、敗訴した。 かかる格差の補正は、偏見や差別によるものではなく、その目的に合理性がある…と認められれば、不公正だとは見られないようだ。 このような思い切った積極的な行動があちこちでとられ、反対者と裁判で争われ、それが正義に背かない…と認められれば更に広がっていく所に、日本にはない、米国社会の健全さが感じられますね。 …………………… Justice @Michael J Sandel ①http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 4人の遭難漂流者 Justice @Michael J Sandel ②http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 肺ガンで儲ける Justice @Michael J Sandel ③http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 ミミズ食べ賃Justice @Michael J Sandel ④http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 ビル・ゲイツのお金を分ける Justice @Michael J Sandel ⑤ http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 自殺幇助 Justice @Michael J Sandel ⑥ http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 徴兵と代理出産Justice @Michael J Sandel ⑦ http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 イマニエル・カントの思想 Justice @Michael J Sandel ⑧ http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 カントの思想(続) Justice @Michael J Sandel ⑨ http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 公平な社会 Justice @Michael J Sandel ⑩ http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 |