7日のアトさんの日記にコメントしていて思い出しました。 桜の花の下は恐ろしい。なぜでしょう。二十歳台だった昔には判っていたように思いますが、今は頭でっかちの理系爺となってしまった私には判らなくなっています。感覚が鈍ったのでしょうね。 花咲爺さんは愛犬を焼いた灰で桜の花を咲かせました。だからと言っても恐くはないですね。しかし、その部分だけを見れば死のイメージが付きまとう。子供の頃は気付きませんでしたが、桜の美しさの裏を感じられるような気がします。 「桜の下にて春死なん」と西行が詠んだように、「桜の下で死にたい」と言うほど、日本人は桜好き。……なーんて言うのはむしろ逆ムードですね。それほどに美しいというだけ。★★坂口安吾の『桜の森の満開の下』; 篠田正浩監督が映画化しました。 盗みを働こうが、人の命を奪おうが、何も感じない一人の山賊がいた。 何に動じることのない男でも、ただひとつだけ怖れているものがあった。 それは、桜の森の満開の下――。 山賊は、山に棲み、通りがかった旅人を殺し、女は気に入れば女房にした。この山のすべて、この谷のすべては自分の物と思っていたが、桜の森だけは恐ろしいと思っていた。桜が満開のときに下を通れば、ゴーゴーと音が鳴り、気が狂ってしまうのだと信じている。 http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42618_21410.html http://kenji.cnu.ac.kr/loveletter/sakura/full-bloss…om-sum.htm ★★桜は綺麗なだけじゃない。人の心の中の鬼をあばく魔性も秘めている。 (沙羅のブログ)★★桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!」という梶井基次郎 お前,この爛漫と咲き乱れている桜の樹の下へ,一つ一つ屍体が埋まっていると想像して見るがいい.何が俺をそんなに不安にしていたかがお前には納得がいくだろう. 馬のような屍体,犬猫のような屍体,そして人間のような屍体,屍体はみな腐爛して蛆(うじ)が湧き,堪(たま)らなく臭い.それでいて水晶のような液をたらたらとたらしている.桜の根は貪婪(どんらん)な蛸(たこ)のように,それを抱きかかえ,いそぎんちゃくの食糸のような毛根を聚(あつ)めて,その液体を吸っている. 何があんな花弁を作り,何があんな蕋(ずい)を作っているのか,俺は毛根の吸いあげる水晶のような液が,静かな行列を作って,維管束のなかを夢のようにあがってゆくのが見えるようだ. http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/427_19793.html ★★桜が何故怖ろしいのか。私たちが孤独だからだ。私たちが孤独で、その孤独を紛らす言葉を所有していないので、私たちは沈黙するしかない。私たちが沈黙し、自分の孤独と向き合った時、桜吹雪はごうごうと音を立て始め、私たちを魔界へと誘うのである。 http://nsawada3.exblog.jp/9891538/ 子供の頃、我が家の物置で野良猫が死にました。屍体をイチジクの木の根本に埋めました。翌年、イチジクの葉っぱは厚みが増し、まるまるとした実をタップリつけました。あまり食べる気にはなりませんでした。 今は樹木葬が流行っているとか。桜の木の根本に埋めるのかな。今年の春に近くで私が撮った塩本牛代の江戸彼岸桜の写真です。この話題にふさわしいかどうか。