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不耕起農業ゼミ/SRI農法研究の「タイラーさんからの質問に答えるトピック」
「タイラーさんからの質問に答えるトピック」の書込一覧です。
タイラーさんからの質問に答えるトピック
【閲覧数】1,130
2009年03月07日 00:04
別のウェブサイトであったことなのですが、僕とタイラーさんのやりとりを紹介します。

■■わたなべの発言■■
「卒論の内容は、稲作の不耕起栽培についてです。

コメは「田んぼを耕さなくても」栽培可能なのです。
これらは全て科学的に証明された、いわゆるトンデモ農業の類ではありません。

稲作の不耕起栽培には、大きくわけて2つの栽培方法があります。


・不耕起移植栽培
→苗をある程度の大きさにまで育てて、通常より育った苗(といっても12cmくらい)を専用の田植え機で植えていきます。
 全く耕していないので、去年のイネ株が残っている田んぼに切り溝を入れていきながら、植えていきます。
 耕さないところに苗を植えるので、イネが野生化して丈夫になり病気にかかりにくくなります。また、耕さないことにより生物層が多様になるので、生物の死骸が肥料に、また害虫の大量発生を防ぎます。
 そのため、無農薬栽培を前提とした栽培が条件となります。
 生き物に田んぼを育ててもらうのです。


・不耕起直播栽培(愛知式不耕起V溝直播栽培が主流)
→冬の間に代掻きを行い、田んぼを乾かして、田面を平らにします。その後は一切耕しません。
 その平らになった田面に、切り溝をつけながらモミと肥料を落としていく専用の播種機を使いすいすい植えていきます。後は除草剤処理と水管理をするだけでコメがとれます。


両方に共通するメリットは
・労働の省力化
・エネルギーの省力化

これらにつきます。

また、前者の方法では
・生業としての無農薬栽培を実現するだけの安定性
・コメの食味の向上
・冬期湛水(冬の間に田んぼに水を張ること)との組み合わせにより、田んぼに生物がかえってくる

といったメリットが挙げられます。

後者の方法には
・労働強度の低下
(例:田植え機に苗を運ぶ作業がなくなる、田面が固いため作業がしやすい)
・圧倒的な能率化
(例:一日に3~5haの植え付けが可能になる)
・作業分散が可能である

こういったメリットが考えられます。



僕自身は、これらの不耕起技術が、エネルギー資源枯渇、高齢化を迎える日本の農業には不可欠だと考えています。

将来的には、耕さない稲作が日本のスタンダードになる、とまで予想しています。

そのため、どうやったらこれらの不耕起技術が広がっていくのか、また農家が不耕起技術に取り組むにはどうしたらよいのか、ということを考えて卒論にしています。 」


■■タイラーさんの返信■■

不耕起直播栽培(愛知式不耕起V溝直播栽培が主流)
→冬の間に代掻きを行い

代掻きは鋤とちがって、耕すには入らないってことですか?種まき用の整地ってことかな。
切り株の残った田んぼに直播きってのはないの?

「エネルギー資源枯渇」というのは、機械を動かすガソリンのこと?
「高齢化を迎える日本の農業」とは、農業に後継者がなく、高齢者だけが農業の担い手になるということ?若い人が農業を始めるのにあたって「省力化」が必要ということ?

労力だけの問題で分析するの?
不耕起、不施肥、不除草、不防除などの効用についてはどうですか?

「将来的には、耕さない稲作が日本のスタンダードになる」いいですね。

渡辺さんは、いまのところ「どうやったらこれらの不耕起技術が広がっていく」、「農家が不耕起技術に取り組むにはどうしたらよい」と考えているのですか?

農家には「変わることを是としない」苦労に耐える力と変化を受け入れない力が働く事もありますね。
一方で、田植機、稲刈り機、機械乾燥、化学肥料、農薬、などは、お金がかかってもどんどん普及したのはなんででしょうかね。楽になる、収量が上がるというのが、ポイントでしょうか。お金がかからない、労力を減らして上手い米がとれるなんて事実を知る、受け入れるのは時間の問題ということでしょうか。楽になるけど収量が下がるだと、普及しにくいのでしょうか。」



これらの質問に答えていきたいと思います。

書き込み数は7件です。
[ 日付順 ] [ 投稿者順 ]
Re: タイラーさんからの質問に答えるトピック
【返信元】 タイラーさんからの質問に答えるトピック
2009年03月07日 02:40
なべさんありがとうございました。

明日の分科会申込み者は17名という事です。
多彩な地域からの参加お申込みです。
皆様よろしくお願いします。
Re: タイラーさんからの質問に答えるトピック
【返信元】 タイラーさんからの質問に答えるトピック
2009年03月07日 01:09
農政、ないしJAとしては、不耕起農法って、あまり嬉しくないと思うんですよね。

特に、岩澤式のほうでは。
だって、肥料や、農薬、トラクターなどの使用をやめるのですもの。
ものが売れなくなる。

こういったことも、考慮にいれなければならないでしょう。
三方が丸く収まる仕組みがあるのなら、考えなければならないし、ないのであれば三方の軋轢で、お互いがしんどくならないような仕掛け方をしなければならない。
Re: タイラーさんからの質問に答えるトピック
【返信元】 タイラーさんからの質問に答えるトピック
2009年03月07日 01:06
農家には「変わることを是としない」苦労に耐える力と変化を受け入れない力が働く事もありますね。
一方で、田植機、稲刈り機、機械乾燥、化学肥料、農薬、などは、お金がかかってもどんどん普及したのはなんででしょうかね。楽になる、収量が上がるというのが、ポイントでしょうか。お金がかからない、労力を減らして上手い米がとれるなんて事実を知る、受け入れるのは時間の問題ということでしょうか。楽になるけど収量が下がるだと、普及しにくいのでしょうか。」


■回答
お金以外の、気持ちが働いたというのが、不耕起移植栽培を行った理由のひとつだと僕は考えています。
個人的な内容になるので深くはふれませんが、お世話になった人のため、家族のためなど、経済では測りきれない理由で、岩澤式の不耕起栽培に取り組む人は多いようです。

不耕起直播栽培では、経済的なインセンティブが働いているので、拡大しているのでしょうね。

決定的な理由ではないですが、岩澤式の不耕起栽培に
取り組みにくい理由のひとつとして、冬期湛水が難しいことがあります。

冬の間に、用水を使用することはないので、自分で田んぼに水を引くための施設を用意する必要があるのです。
だから、個人で冬に田んぼに水を入れようとすると・・・ポンプで水を引くか、井戸を掘るかなど・・・お金も技術も必要になってきます。

だから、冬期湛水を行うには、地域ぐるみで取り組む必要があるとは思います。実際、著書にもありますが、秋田県で地域ぐるみで冬期湛水を行って、田んぼに白鳥がはってくる例がありますね。



農業の根本から変わる農法なので、大規模に取り組むには、やはり農政やJAと一緒に取り組む必要があるのですが・・・

もうひとつコメントします。
Re: タイラーさんからの質問に答えるトピック
【返信元】 タイラーさんからの質問に答えるトピック
2009年03月07日 00:55
渡辺さんは、いまのところ「どうやったらこれらの不耕起技術が広がっていく」、「農家が不耕起技術に取り組むにはどうしたらよい」と考えているのですか?

■回答
どうやったら広まるのでしょうね・・・
不耕起直播栽培のほうでは、実際に2007年には、作付け面積が1000haを超えており、2003年から始まった技術としては爆発的な伸びを見せています。

しかし、不耕起移植栽培のほうは、なかなか伸びている様子がわかりません。そもそも、統計データを取るほど、面積が少ないというのがありますし、また移植栽培と不耕起移植栽培は、統計上分けて考えられていないと思います。

まずは、実際の面積を調べるところから始める必要がありますね。
冬期湛水を行っている面積ならわかるのですが、冬期湛水=不耕起ではないので・・・よくわからないのが現状です。
次の質問と重複する部分があるので、まとめて答えますね。

Re: タイラーさんからの質問に答えるトピック
【返信元】 タイラーさんからの質問に答えるトピック
2009年03月07日 00:47
労力だけの問題で分析するの?
不耕起、不施肥、不除草、不防除などの効用についてはどうですか?

■回答

不耕起・・・両農法とも、耕さないといえば耕さないのですが、愛知式不耕起V溝直播栽培のような不耕起直播栽培では、整地のために代掻きや鎮圧を行うことが多いです。

不施肥・・・不耕起移植栽培では、米ぬかペレットなどを与えることが多いです。
不耕起直播栽培では、モミを田んぼに撒く際に、一緒に肥料も入れています。(肥料焼けしないように、特別な肥料が開発されている)だから、施肥をする時間を別に設ける必要がないという便益があります。

不除草・・・不耕起移植栽培では、手で除草を行うケースが多いです。まあ、うまく田んぼが作れていれば、手で除草がまかなえるのレベルでしか、草が生えないのですが・・・
不耕起直播栽培では、残念ですが、合計3回ほど除草剤を使います。非選択性の除草剤で、まずはじめに。その後、ヒエなどを防除するために選択性の除草剤を2回適期に散布します。不除草とはいきません。

不防除・・・病気に関しては、両農法ともあまり記述がないのですが・・・これは土地による要因が多いかもですね。病気は出る地域が限られていますから。勉強不足です、申し訳ありません。


Re: タイラーさんからの質問に答えるトピック
【返信元】 タイラーさんからの質問に答えるトピック
2009年03月07日 00:37
「エネルギー資源枯渇」というのは、機械を動かすガソリンのこと?
「高齢化を迎える日本の農業」とは、農業に後継者がなく、高齢者だけが農業の担い手になるということ?若い人が農業を始めるのにあたって「省力化」が必要ということ?

■回答
機械を動かすガソリンももちろんエネルギーですが、他にも肥料を作る際にもエネルギーがかかりますね。化学窒素肥料の高騰は、去年の7月当たりにはとても問題になっていましたし。
現状、先進国の生産性の高い農業は、すべて工業型農業、化石燃料を大量に使用した農業に依存していると思います。

省力化には、実は2つの意味があります。
1、労働時間が省かれる
2、労働強度が弱くなる

1に関して、不耕起直播では、4割の労働時間削減効果が明らかにされています。
2に関して、不耕起直播栽培は、実は「しんどくない」作業として人気があるのです。
苗を移植する場合・・・苗箱を田んぼに並べる作業。その苗箱を、トラックに積み込む作業、またトラックから田植え機に苗箱を移し変える作業・・・
こういったしんどい作業を省略することが出来ます。

これらの作業を、直播という「機械が行う作業」に変更することが出来るのです。

(機械が行ったら、前述の省エネルギーは達成できていないじゃないかと言われそうですが・・・。)
でも、これなら高齢者でも、すべての作業工程を機械に乗って行うことが出来るため、楽々田んぼを作ることが出来ます。
Re: タイラーさんからの質問に答えるトピック
【返信元】 タイラーさんからの質問に答えるトピック
2009年03月07日 00:13
不耕起直播栽培(愛知式不耕起V溝直播栽培が主流)
→冬の間に代掻きを行い

代掻きは鋤とちがって、耕すには入らないってことですか?種まき用の整地ってことかな。
切り株の残った田んぼに直播きってのはないの?


■回答
代掻きは、耕すことに考えていません。
ご察しの通り、種まきをするために、整地として行います。

切り株の残った田んぼに直播をすることも可能ですが、やはり土地がでこぼこしていると、種が鳥に食べられてしまうなどして、発芽率が低くなるので、行われていないようです。