近鉄小倉駅から北西に西宇治の住宅密集地が続き、西宇治運動公園から北側には豊かな巨椋干拓田が広がっています。

生活道路を自動車で走りながら、近鉄向島第3号踏切に程近い田んぼの中に最近出現した特段大きなビニールハウスが気になっていました。

今日、道路からハウスへの進入口が開いていたのでお邪魔してみました。工事用のトラックが入り設備を整えている様子でしたが、運よくハウスの運営主のMさんにお目にかかり話を伺いました。ハウスに隣接する作業所の入り口での立ち話です。
「ここで何を栽培していらっしゃるのですか?」
「とうがらしですよ。ほら、これです」
室内には箱詰めされたとうがらしが積まれていました。

なんとつややかな粒ぞろいのとうがらしでしょう。箱には≪京の伝統野菜・万願寺とうがらし・JA京都やましろ≫と書いてありました。
「このハウスの中は全部とうがらしですか?」
「そうですよ、覗いて見ますか?」
足を踏み入れた瞬間、むっとした暑さと湿気に思わず立ちすくみました。そのはずです。温度計は27度、重油で温度を上げているとか、室外との温度差が20度近くもあったのです。
とうがらしを撮影したいとカメラを向けましたが、液晶画面が曇ってどうしようもありませんでした。

蒸気のこもるハウスの中を見渡せば、なんとも圧巻としか言いようがありません。青々と腰の丈ほどにも成長したとうがらしの整列です。ハウスの総面積は1000坪ぐらいだとか、東西に広がる畝が20畝ほどもあって、とうがらしは3,000本も植わっているそうです。
「宇治の店でこのとうがらしは買えますか?」
「さあ、中央市場へ出荷していますけど宇治には来てるかなあ?」
ハウスを出ながら独り笑いをしました。
この万願寺とうがらしをどこかの店でぜひ探し当て網焼きにして、かつお醤油でいただこうと盛んに食指を動かせたのでした。
帰り道、ハウスの近くにススキの茂った休耕田があって、なんとなくほっとした気分になりました。