「父が美術雑誌や美術百科事典の営業マンだった関係で、幼少期から雑誌などを通じてアートに親しみ、画家になりたいと思っていました。10歳のとき、岡山に単身赴任中だった父が「お前に見せたい場所がある」と連れて行ってくれたのが大原美術館(岡山県倉敷市)。エル・グレコ「受胎告知」など珠玉の名画が並ぶ中、とてつもなく下手くそな絵を見つけた。「何これ?」と近づいたら、ピカソの「鳥籠(とりかご)」で、衝撃を受けました。こんな下手でも美術館に飾られるのならと、ピカソをライバル視するようになりました。いいかげんにしろと言いたいですが(笑)、子供にそう思わせるピカソが本当はすごいんですけどね。これがアートについての私の原体験です。」(原田講演より) 原田マハの「楽園のカンヴァス」を読みました。アンリー・ルソーの作品をテーマとした“美術ミステリー”といえる作品で、久しぶりにワクワクしながら読みました。彼女自身も美術館勤務やキュレーターなど美術界で足かけ20年のキャリアを積んでいるだけあって、その知識たるや半端でないので、美術批評の講義を受けている気分。それにプラスして サスペンスの香りが漂い、私のすごく好きなタイプの作品でした。最後まで息尽かせぬ展開を存分に楽しませてもらいました。 彼女は、この作品で第25回山本周五郎賞を取っています。お勧め作品です! ※作品 ピカソ「鳥籠」ルソー「夢」 |