武田一顕氏 |
>All About >なぜ中国は豊かになっても「満たされない」のか。習近平体制を支える強烈な被害者意識の正体 >武田一顕によるストーリー・ >5時間・ >GDP世界第2位の経済大国となり、軍事的にもアメリカと渡り合う強国・中国。 >しかし、その内面には意外なことに「私たちは今もいじめられている」という強烈な被害者意識が巣食っています。 >なぜ彼らは、どれだけ豊かになっても満たされず、世界に対して攻撃的になるのか? >習近平が独裁体制を強化する本当の理由とは? >中国通ジャーナリスト・武田一顕氏の著書『日本人が知っておくべき中国のこと』(辰巳出版)より抜粋し、4000年の歴史と200年前の「ある出来事」が生んだ、中国特有のトラウマの正体に迫ります。 >中国はいじめられているのか? >将来いずれかのときに、アメリカと衝突する──。 >習近平の頭の中は、そのことで占められています。 >一人独裁体制を築いたのは、ものすごく権力欲があるから。 >もちろん、国内で自分の地位を守るためでもあるでしょう。 >しかしそれだけの理由で、身の回りを腹心で固めたわけではありません。 >いつアメリカと対峙しても大丈夫なように、組織を強化しておくことを習近平は強く意識しているのです。 >いざというときに共産主義国である中国がひとつになるには、トップが強い権力を持ち国民を牽引していかなくてはなりません。 >その覚悟の表れなのです。 >中国は世界第2位のGDPを誇る大国です。 >にもかかわらず、今でもアメリカやヨーロッパ諸国にいじめられていると思っているふしがある。 >このことについて、40年近く外交官を務め、その大半を中国との関係に費やしてきた前中国大使・垂秀夫(たるみひでお)は、中国はいまだにアヘン戦争の悪夢に苦しんでいるという意見を述べています。 >「──習氏を理解するうえで重要なのは、こうした強烈な被害者意識だと思います。 >アヘン戦争以降、西洋列強や日本によって半植民地化され、虐げられてきたという意識は、歴代の最高指導者と比べても強い。 >そして中国が餌食となったのは、力が無かったからだと考えている。 >だからこそ、力への信奉を極めて強く持っているのです。 >(『文藝春秋』2024年9月号・文藝春秋)」 >200年前のトラウマ──アヘン戦争とは >アヘン戦争は、1840年にイギリスと当時の清(しん)の間で起きた戦争です。 >イギリス人は紅茶に親しむ習慣がありますが、実は寒い気候のせいでお茶を栽培できず、中国産の茶葉に頼っていました。 >さらに絹や陶磁器も清から輸入しています。 >その一方で、清がイギリスから輸入するものはほとんどありませんでした。 >それでは、イギリスは貿易赤字になってしまいます。 >そこで、当時イギリスの植民地だったインドで栽培した、ケシから採取したアヘンを中国に輸出しました。 >アヘンは麻薬です。 >それがどんどん中国に蔓延しました。 >依存性が強いために清の人たちは身体も心も蝕まれていきます。 >このままでは国が滅びてしまうと考え、清国政府は欽差(きんさ)大臣として林則徐(りんそくじょ)をアヘン輸入基地となっている広東省に派遣。 >林はアヘンを没収。 >燃やして、輸入規制をかけました。 >この行為に怒ったイギリスは清に戦争を仕掛け、近代兵器を持たない清は惨敗。 >南京条約を結ばされ、香港を割譲させられます。 >そんな経緯で香港は、1997年に返還されるまでイギリス領でした。 >中華人民共和国が誕生する1949年まで、欧米列強や日本は、中国をいじめ抜き、搾取し続けます。 >中国はこうしたトラウマからいまだに解き放たれず、GDPが世界2位になっても、列強にいじめられていると思っているのです。 >中国人は、もうこれ以上いじめられたくない。 >いじめられなくなるには、自分たちが強くならなくてはいけない。 >その思いが習近平にも受け継がれているのです。 >中国も習近平もルサンチマン >「ルサンチマン」という言葉を耳にしたことはありますか? >弱者は、自分がかなわない強者に対して様々な感情を抱きます。 >怒り、恨み、憎しみ、非難、嫉妬……などです。 >そういった感情を覚えると、やがて「強者=悪」「弱者=善」という認識となります。 >そのような感情や価値観を内攻的に積もらせた状態をルサンチマンといいます。 >中国も、今の最高指導者の習近平もその状態だと考えると、今の中国が理解できます。 >様々な状況のつじつまが合うのです。 >GDP世界第2位になってもなお、自分たちはアメリカやヨーロッパにいじめられていると思っている。 >アヘン戦争以来の諸外国が中国をいじめている状況は、今も変わっておらず、自分たちをいじめる諸外国は悪。 >いじめられている自分たちは善。 >中国、そして中国人がルサンチマンだと解釈すると、今の中国をかなり理解することができます。 >紀元前から中国は大国でした。 >メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明と並び、中国文明は世界4大文明の1つで、繁栄を続けてきました。 >しかし、18世紀から19世紀にかけての産業革命で、世界の勢力図が変わってきた。 >それまで自分たちよりも下に見ていたヨーロッパの国々がどんどん繁栄していきました。 >「朱門(しゅもん)には酒肉(しゅにく)臭(くさ)れるに、路(みち)には凍死の骨有り」 >これは、李白(りはく)と並び中国史上最高の詩人、“詩聖”と称されている、杜甫(とほ)の代表詩の1つです。 >「朱門」とは言葉の通り、朱色の門。 >お金持ちの家のことをいいます。 >豊かな家には腐って臭うほど酒も肉も余っているのに、外の路上では貧しくて凍死した人の骨が放置されている。 >つまり、中国における格差社会をうたっている詩です。 >杜甫が生きていた8世紀も、今も、中国には大きな貧富の差があります。 >中国人のDNAに刻まれた「搾取と貧困」の記憶 >現在、東京の銀座を歩いても、京都や箱根の観光地を訪れても、中国人の旅行者がたくさんいます。 >円安でもあり、高額な買い物や食事を楽しんでいます。 >その姿を見ると、中国がとても豊かな国に思えます。 >しかし、日本で豪遊する旅行者は、ほんのひと握りの金持ち中国人です。 >国内には、国から一歩も出られず、それどころか自分の住む村から一歩も出られない人がいくらでもいます。
中国で農村戸籍を持つ人たちは差別されていますね。
>大多数の中国人は貧しく、食事も満足にとれていません。 >中国の長い歴史を眺めても、豊かだった時代はほんのわずかです。 >唐(とう)の一時期、清の一時期くらいでしょうか。 >中国はほとんどの時代が戦乱の中にありました。 >中国人の圧倒的多数であった農民たちは、どの時代も搾取され苦しんできました。
中国に限らず大陸の国家は都市国家ですね。都市国家は大陸という大海に浮かぶ島国の様な存在ですね。都市以外に住む人たちは大海に住む魚たちの様なもので、まともな市民権はありませんね。
>その苦しんできたことによるコンプレックスと、世界4大文明の1つをつくりあげた国であるプライド、両方を持ち続けている人たちなのです。 >その感覚が中国人のDNAには深く刻まれているので、少しくらい豊かになっても、ルサンチマン体質は払拭できません。
中国は中原 (ちゅうげん) に鹿を逐 (お) う伝統的な覇者の国である。だから、覇者の物語 '三国志' は、中国人の愛読書となっている。覇者は周辺諸国に覇権を打ち立てようとして傍若無人のふるまいをし、多大な迷惑をかけている。これは皇帝の時代も国家主席の時代も漢民族のメンタリティが同じであるから変わらない。漢民族は、自分たちの考えを示すために漢字を作った。しかし、彼らは外国人の考えを示すための漢字は作らなかった。だから、外国人に対して自己の内容を発信はできるが、外国人からの内容を受信することは難しい。それで独断専行に陥りやすい。印欧語族のインド哲学を経文 (漢文) にして表すことが至難の業であることがわかる。経文など漢文の書物をいくら読んでも外国人の考えは出てこない。だから、中華思想を堅持し自己中心的にならざるを得ない。周辺諸国を中国化することに専心してやまない。中国人が外国人の影響を受けて発想の転換 (paradigm shift) をすることは期待薄である。 ・・・・・ 中華 (ちゅうか) [外国との交渉が少なかった時代に] 自国を、世界の中心にある、一番優れた国とみなしたこと。[狭義では、漢民族のそれを指し、またその呼称としても用いられる] 東夷 (とうい) [東方の野蛮人の意] 昔、中国から見た東方諸国の称。[広義では朝鮮・沖縄を含み、狭義では日本を指した] 南蛮 (なんばん) [南方の野蛮人の意] 昔、中国で、インドシナなど南海地方の諸民族の称。 西戎 (せいじゅう) [西方の野蛮人の意] 昔、中国で、チベット族やトルコ族など西方の異民族の称。北狄 (ほくてき) [北方の野蛮人の意] 昔、中国で、匈奴 (きょうど)・韃靼 (だったん) などの遊牧民族の称。
>この書籍の執筆者:武田一顕 プロフィール >1966年生まれ。 >東京都出身。 >早稲田大学第一文学部卒業。 >元TBS報道局記者。 >国会担当記者時代の“国会王子”という異名で知られる。 >また、『サンデージャポン』の政治コーナーにも長く出演し親しまれた。 >2023年6月退社後、フリーランスのジャーナリストに転身して活動中。 >大学在学中には香港中文大学に留学経験があり、TBS在職中も特派員として3年半北京に赴任していた経験を持つ。 >その後も年に数回は中国に渡り取材を行っている「中国通」でもある。 >著書に『日本人が知っておくべき中国のこと』(辰巳出版)など。
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