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干拓田に赤とんぼ舞う日に
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2007年09月01日 14:12
 巨椋池干拓田の稲田は、穂が出揃い始めてまぶしいほどの成長ぶりを見せています。
農作業小屋の付近に人影を見かけたのでお邪魔してみました。
 「今日は宇治市で災害訓練が行われているのですが、もし、今この稲田が水に浸かってしまったらどうなるのかと心配でお伺いしました」と話し掛けました。
「まあ、こちらへどうぞ」と小屋へ招いて椅子を勧めてくださったのはSさん。小倉町天王にお住まいの81歳の温和な感じのお爺さんでした。
「いま、水にやられたら稲は全滅ですよ。私は13号台風でその怖さを体験していますから、、、」と話が始まりました。
 
 Sさんは、当時28歳。昭和28年の13号台風によって、宇治川が現在の京滋バイパス南のあたりで決壊しました。巨椋池干拓田の稲は11月の収穫期を前に穂が色づいていたのに、全滅状態に。農家ですら配給の米をもらって暮らしたということです。水は1ヶ月以上も引かなかったそうです。というのは、小椋池のポンプ場が浸水して、宇治川へ水をくみ出す機能が果たせなかったからです。
 近鉄も1ヶ月ほど不通になり、国道も水浸し、生活用品の買い物にも不便で、あんなことは二度と起きてほしくない、とSさんは当時を振り返って、首を横に振られました。
「今は排水機場も整備されたし、あんなことにはならんと思いますがなあ、、、。」と少し笑顔が戻ってきました。
 
 高齢で、現在は畑だけを作っていると、裏手に案内していただきました。茄子や黒豆、梨などが秋の実りを待つ、のどかな風景が広がっています。おいしいお茶を頂いたのですが、これは80メートルの地下水をポンプでくみ上げた天然水だそうです。この水は、セリの栽培に利用されていました。年中18度の水温を保っているそうです。セリ田の畦道には「転作田確認の旗」という宇治市の認証の小旗が揺らいでいました。
 田畑が連なるこの豊な巨椋池干拓田に、どうか安泰な日々が続きますようにと見上げる空に、赤とんぼが群れ飛んでいました。
  
 

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