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荘厳な古寺を彩る紅葉 ~加茂に海住山寺を訪ねて~
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2007年11月01日 17:52
 木津川市加茂町の恭仁宮跡・山城国分寺から更に山手へ辿ると、山腹に海住山寺があります。秋の文化財特別公開(10月27日~11月4日)で、五重塔が開扉されるのを機に訪ねました。別名厄除なんてん寺と呼ばれるだけに、参道の赤い実をつけたなんてんが目につきます。修行大師像に迎えられて境内へ。
  
 青天の下、荘厳な佇まいを見せる本堂をはさんで左手に五重塔、右手に文殊堂が配さ
れ、山腹でありながら境内は一万坪とその豊な展望に驚かされます。五重塔は国宝、文殊堂は重要文化財の指定を受け、いずれも鎌倉時代の建造物です。
   
 国宝五重塔は、杉の大木と楓を周囲に配して聳え立ち、折しも見事な紅葉のグラディションが楽しめました。
 
 五重塔内は厨子絵に飾られ、精巧な組木の造りが時代を超えて感動を誘います。東西南北の各扉から安置された帝釈天、閻魔王、阿難、多聞天などの佛像を拝しました。
続いて本堂に上がって御本尊の十一面観音像を拝み、寺の歴史を物語る木造の仏像五体や壁画などに出会いました。
普段は奈良国立博物館に寄託されている国の重要文化財・十一面観音像には、ガラスケース越しの対面となりましたが、ふくよかな姿と柔和な眼差しに魅せられました。写真撮影は禁止でしたが、いずれも心に深く刻まれました。
般若心経の読経に振り返ると、四人の若い僧侶が伽藍の中央で経を上げていました。
出口で尋ねると、寺の本山である真言宗智積院から見学に来られた僧とのことでした。

 最後は本坊です。特別公開中の寺所蔵の書画を拝見。富岡鉄斎の山水画や、勝海舟の書の掛け軸との出会いは予期せぬ至福のひとときとなりました。
本坊庭園は、整然とした趣の中にも自然の優美さが漂い心洗われました。
本坊入り口の軒に、目立たない小さな釣鐘があります。これはと問い掛けると、住職のご母堂が気軽に説明してくださいました。今あるのはレプリカで、本物は鎌倉時代の作で京都府の文化財指定を受け、奈良国立博物館に寄託しているとのことでした。
 
釣鐘といえば、鐘つき堂の大釣鐘の逸話もお聞きしました。
戦時下に出された金属類回収令で梵鐘も当然供出させられるところでした。麓の国分寺の鐘は供出されました。ところがこの寺の鐘は、山腹から運び下ろす人手がなくて運良く供出を免れ、現在も江戸時代の姿を保っています。除夜には、檀家の人々が願いを込めてつく鐘の音が響き渡るそうです。
  
深山の静寂の中、幽遠な歴史を秘めて佇む五重塔や仏像。
紅葉に彩られた古寺・海住山寺との出会いは忘れることの出来ない感慨をもたらしてくれました。

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