2030年の原発依存率の議論はしばらく途絶えていましたが、今度の衆議院選挙で少し盛り返してきたようです。
この議論のあり方に何となく問題があるように私には思えます。
反原発の人たちはその理由として福島原発事故の恐ろしさを挙げる。汚染のために今後も長期に亘って自宅に帰れない人が沢山居る。津波による行方不明者も放射能の恐怖がなければかなりの人を救えた可能性はある。
この状況は誰もが認識しており、これを恐ろしくない…なんて人はいない筈でしょう。
したがってこの恐ろしさを強調されても議論は前進しません。反対する人がいない。
しかし反原発の人たちはこの段階の人が多いように思えます。原発事故の恐ろしさから原発反対に直行した人たちです。
声が大きいのもこの人たちであり、自由に発言させるとこの人たちが多く喋る。圧倒的多数であるが如くである。極端な反原発の人達の中には原発維持の意見の人たちを命を大切に思わない、人でなしのように罵しる人達がいますが、私には共に議論する気になれない人たちです。恐ろしいのは同感ですから反論のしようがありません。
この恐ろしさから単刀直入に原発依存率ゼロとの結論を出す上記の人達と、怖いけれど、幸せな生活の維持のためには本当に原発を廃止した方がいいのだろうか…と慎重に考える人に分かれます。人の命を守るためには、子孫の幸せな生活のためには原発を維持するのと廃止するのとどちらがいいのだろうか…。
前者の人たちとは議論することは不可能だ…と私は思っています。
各発電手段についての資料を集め検討を加えて、どちらが子孫の為になるのか判らないという人、やはり廃止した方がいい…とする人、原発はある程度の安全性を確保した上で維持した方が幸せになれる…と言う人の3グループに分かれます。
これらの人々とは議論可能だろうと私は思っています。
私は未だに判らない派です。判断するための情報が不足しています。理由は以下。
①発電コスト 原発、火力、水力それぞれ、建設・事故補償・廃止コストは当然に含みます。原発の使用済み燃料の保存コストは入っていないと使用に耐えません。
再生可能エネルギー発電は建設コスト以外は問題なさそうですが。それらの総合的なコスト比較を私はまだ知りません
② 危険性 原発の危険性は十分に判りましたが、火力・水力の危険性については議論されていない。
ネット上には原発が最も安全だ…とのデータもあるが、必ずしも世に受け容れられていないようです。どちらかと云えば過去のデータのものと思える。
http://naglly.com/archives/2011/03/death-rate-per-watts.php
http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30
東日本大震災では、原発の死者は目下の所はなかったようだが農業ダム(藤沼ダム)決壊により7人が亡くなりました。
化石燃料はその有害な排ガスによる死者増加が当然に増えることがデーターが示しているし、その被害が比較的に少ないLNGは、巨大がタンク基地が震災などで事故った時の被害は原発事故などよりは遙に怖いように思えます。爆発力は水素ガスの比ではない程に絶大です。LNGタンカーの事故による被害も大きそうです,まだ起こってはいないようですが。
http://mblog.excite.co.jp/user/hilng/entry/detail/?…d=10743036
http://hilng.exblog.jp/10743036/
だのに、LNGタンク基地の下や水力ダムの下に活断層がないかどうか、調査された気配がない。これらの事故の可能性は原発よりも低いのかどうか、私には判っていません。事故れば福島原発よりは怖そうなこれらの可能性はどうなのだろう。
タンク基地 ;
http://www2.kaiyodai.ac.jp/~osakabe/LNGship.pdf
ダム ;
http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-1768.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spmpy497/6204677.html
火力発電に伴う地球温暖化による食料生産の状況もどう変わるか。それが人類の生活にどう影響するなか。(私は温暖化ガス発生量の変化が、現在起こりつつある温暖化どの程度寄与しているのか、IPCCのデーターには疑問を持っていますが)
③.再生可能エネルギーの中から汎用使用可能性のありそうなものが開発できる見通し 技術予測の問題です。2030年までに完成するように努力するのはいいとして、そのシナリオの出来ていない現在、ダメだった…と云うときはどうするのか。
電気料金が1~2割の上昇で済めばまだいいのかも知れませんが、2倍になったりすると日本工業には壊滅的被害を与えるでしょう。これから原発を増やす国に太刀打ち不能です。日本の雇用が失われ、生活保護受給者が拡大することでしょう。幸せな生活は吹っ飛んでしまいます。そうならない見通しを付けて技術の開発をやってほしいものです。頑張れば何とかなるだろう…では困ります。現時点ではできない可能性も結構あるように思えます。
…と云った訳で原発の寄与率をどうするべきか、私には未だ判らないのです。もう10年もすればデータが集まるでしょうか。それまではどうする?
結論を拙速に出すことなく、いずれの可能性もあることを考慮し、情報収集に努力をすること、信頼出来るデータが出るまで結論を先延ばしすることが間違いないだろう…と私は考えています。種々の可能性を考慮して、各種の選択肢を残しておいてほしいものです。
何故、情報が不充分な現状において、一方に決めてしまおうとするのか、それで後に禍根残すことにならないのか、私は心配です。