前の日記
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の本編です。
般若心経というのは仏教を代表する素晴らしい教えであり、あらゆる宗派を越えて多くの人々に支持され続けている経典でございます。今日はあまり時間がございませんから、その核心を少しく申し上げて、ご参考に供したいと思っております。
1. 色即是空・空即是色とは
●1-1 人生とは何か?
仏教をはじめ、あまねく宗教や哲学でも同じですが、それらの根源に説かれていることは何かと申しますと、それは、「人生、どう生きるか」ということでございます。それに対する答えを示したものが宗教です。般若心経も、「人生をどう生きるか」を説いているわけでございますが、これを「人生観」、あるいは「価値観」と言います。
人間、どう生きるか。人によってそれぞれ違うと思います。顔が違うように、考え方も人それぞれです。しかし、大きく集約しますと、一つはやはり経済的な豊かさの追求であり、こういうことに、人生の価値を求める方がいらっしゃいます。あるいは、いやそうじゃない、皆が心を支え合って、心豊かに生きることだという言う人もいらっしゃいます。しかしまた逆に、いや、私には何も、人生の目的も価値も何もない。ただ生きているだけだ、という人も中にはいらっしゃいます。このように、各々の考え方はまちまちです。これを人生の価値観と申します。
しかし、どのような考えの方でも、共通した一点をもっているものです。どんな人でも、「これだけは離せない」という一つの点があるのです。それは何かと言いますと、誰しも「幸せに生きたい」と願っている、ということであります。誰もがそう思って生きているはずです。
そしてすべての人が「幸せを、幸せを」と考えて生きているのですが、ある日、ふと立ち止まって振り返ってみますと、どうでしょうか。本当に幸せでしょうか? 幸せどころか、辛いこと、悲しいこと、苦しいことばかりが多い。これがまた、人生ではないでしょうか。
●1-2 人々が追い求める幸せ―――金・財産・名誉・快楽 = 色
なぜ、私達は幸せを求めていながら、本当の幸せになれないのでしょう。
それは、私達のもつ人生の価値観が間違っているからである、と仏教はこのように説いております。では、私達のもつ人生の価値観とは何でしょうか。多くの人がもっている一つ。そうです、人々は「お金」があれば幸せだと思います。まだあります。やはり、「財産」があれば幸せだと思う人も多いでしょう。そしてまだあります。「名誉」です。地位であり、名誉であり、学歴であります。こうしたものがあると、幸せだと思う人もおります。他にもまだあります。「快楽」です。レジャーを楽しむ、ゴルフを楽しむ、あるいは旅行を楽しむ。こうしたことを「快楽」と言います。中には異性と交わることを楽しむという方もいらっしゃいます。これらはすべて「快楽」です。
大体集約しますと、多くの方は、「金」「財産」「名誉」「快楽」の四つの追求に走ります。これらが、あたかも人生の目的かのごとく、四つの追求に走るのです。
ところが、この四つの物の追求は、大変不幸な結果を招きます。なぜかと言いますと、これら四つの物というのは、いずれも「これでいい」という際限がないからです。
お金がそうです。お金が何もないときは、「せめて1,000万円あれば」と思って、一生懸命お金を貯めてきました。そうすると1,000万円貯まった。「もうこれでいいわ」という人はおりません。今度は「2,000万円欲しい、1億円欲しい」と拡大をしていくのです。
これは、財産でも同じことです。マイホームを建てたときは嬉しかった。しかし、しばらく住んでいると、隣の家はもっと立派だ、「あんな家が欲しい」とか、「別荘が欲しい」とか、財産に対する気持ちはどんどん拡大していきます。
地位や名誉でも同じです。昔、課長に抜てきされた、今度は部長になりたいと、やはり上昇志向がございます。
快楽でもそうでしょう。今年はハワイ旅行へ行った。「もうそれで満足だ」という人はおりません。「次は東南アジアへ行こう」「ヨーロッパへ行こう」という風に、どんどん拡大をしていきます。
(つづく)