ネット社会が広まってきたのはいいことだと思いますが、問題もあるようです。
その一つにいじめの問題です。五輪エンブレムと原発事故の風評でそれを感じました。
佐野研二郎氏のデザイン、私はいいなあ…と思いました。…がベルギーのデザイナーが彼が劇場用に作成したデザインを盗用した…との訴えを起こしました。見ると形状的にはかなり似ていますが、印象は全く相違します。両者を誤認することはあり得ないと思われます。
複雑ではない、簡単なデザイン同士では、似たものは世界的にはごまんとあるだろうと思います。それをいちいち問題にされれば、デザイナーの創作意欲を失うでしょう。
ポスターや製品に貼ったりする商標にはその権利を守るための商標登録制度があります。ベルギーのデザイナイはこの登録をやっていなかった…とか。
したがって彼は商標権侵害を主張できないので、盗用を言い出したのだろうと思います。盗用を主張するためには佐野氏が彼のデザインを見たこと、それを基本にデザインが作成されたことを証明する必要があります。容易にはできない作業でしょう。すくなくとも日本では至難の技です。
商標のデーターベースにも入っておらず、有名でもない地味なデザインに佐野氏がどのようにして行き当たった…と云うのでしょうかね。
このニュースを見て、面白がった大衆やマスコミによる佐野氏への攻撃材料探しが始まりました。
種々の話題の中で五輪エンブレムに関係するものは使用例とした佐野氏が他人の写真のポスターを彼のエンブレム案に無断で置き換えて使用したことのみです。ご本人もそれを認めて反省しているようです。
群馬県太田市は東京オリンピックのエンブレムをデザインした佐野研二郎氏が考案した公共施設のロゴ問題。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150905/k100102172…31000.html
彼の事務所の人がやったトートバックのデザイン。これは佐野氏が謝罪した。しかし、五輪エンブレムとは関係ない話。
その他
http://mera.red/%E4%BD%90%E9%87%8E%E7%A0%94%E4%BA%8…0%E8%A6%A7
他に作品エンブレム自体を貶める話は見当たりませんが、これだけの騒ぎになるとこのままでは支障出でてくるだろうと佐野氏が撤回を提案し、組織委員会もそれを認めました。真っ当と思われるアートがよく事情の判っていない巷の騒ぎの負けたわけです。弱い者いじめを愉しんでやるの人達の成果です。
同様なことは福島原発事故にもありました。
避難生活している人達は慣れない生活、放射能による体に悪影響の有無の心配。
ストレスが溜まって、肉体的・精神的にまいっています。
そこへ、福島で脳溢血が増えた…とか、どこそこで肺炎が増えたとか、証拠もないのに放射能汚染の所為にして、避難者にとって恐怖の情報を浴びせかけます。
政府や東電も情報公開を余りやらないので、現地に住んでいる人達は何を信じていいか迷い、心配し、このような風評がストレスを倍増させたことでしょう。それにより早く逝かれた人も多いかと思います。風評を流した人達は満足しているのでしょうか。
日本は中国などと違って言論の自由の国ですから、このようなネット上の有害な弱い者いじめ情報を遮断するわけにはいきません。したがってシステムとしては防止不能です。参加している人達の良識に待つしかありません。
百年河清を俟(ま)つ(黄河の濁った水が澄むのを待つ)ようにも思えるのが悲しいですね。
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