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2010年12月11日(土) 

   グラフェンとは炭素原子が六角形に並んだ平面が無数に連続して平面を形成したもので、その厚みは炭素原子1個分です。天然にはこれが積層してできた黒鉛結晶が存在します。存在はしていますが、その1層に分離する手段は判っていませんでした。今回物理学賞を受賞したGeimとNovoselovの両氏は2004年に単独のグラフェンのサンプルを作ることに初めて成功しました。



     グラフェンの模型





   最近になって見いだされた新しい、炭素からなる分子としてフラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンがあります。



   フラーレンは炭素原子からなる五画形と六角形とから形成されたサーッカーボール状の球で、基本的には炭素原子60個から成りますが、70個以上からなるものも見いだされています。1986年にライス大学を含む研究グループにより発見され、1996年のノーベル賞(化学賞)の対象となりました。



    フラーレンの模型

   





   カーボンナノチューブについては      http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 でご紹介しました。グラフェンを捲いて筒状にした構造で、その先端はフラーレンの半球が繋がった構造です。巻き上げ方向によって金属的になったり半導体的になったり、その性質が変わってきます。



    カーボンナノチューブ(単層)の模型

                  実際に色が付いているわけではありません。先端は記載されていない。





    1991年にNECの研究グループが1層から7層の上記チューブを見出し、構造の解明と性質の理論的推定を行い、カーボンナノチューブと名付けました。ナノテクノロジーなる技術領域の名前の発端となり、2000年にクリントン大統領が日欧に遅れた米国のナノテクノロジーの推進を唱えさせることになりました。



    カーボンナノチューブと名付けたNECのグループはノーベル賞に近い人たちと早くから噂されていましたかが、グラフェンに先を越されてしまいました。



    その後、炭素以外のナノチューブの研究も増えました。



    また特に日本において、1970年以前から信州大学を先頭に研究されていた気相成長炭素繊維(VGCF)は多層のカーボンナノチューブであることもはっきりしました。



    信州大学の教えを受けて我々はカーボンナノチューブ量産の基本特許を1983年に出願しました。この特許については私の悩みの種でもあり、ある会社がこの特許を侵害して生産販売したことは私の慰めにもなりました。 http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30

我々の特許はもう有効期限は大分前に過ぎました。





    フラーレンやグラフェンは種々研究はされていますが、実用化にはまだ遠いと思われます。カーボンナノチューブは上記会社で量産されで利益を上げているようです。



    我々はカーボンナノチューブをリチウムイオン二次電池の電極に使用していい結果を得ました。液晶モニターのバックライトにも有効です。



   11月30日のニュースによると、NECではカーボンナノチューブ入りインクを使用したインクジェットプリントでトランジスタ回路の作成の成功したそうで、これまで太さ数百ミクロンだったのを70ミクロンにすることができたそうです。アイデアとしては数年前からあり、特許は沢山でてはいたのですが。縺れた状態で生産されたカーボンナノチューブを液体に均一に分散させることが困難だったのですが、その問題を解決できたのでしょう。

http://www.elisnet.or.jp/news/news_detail.cfm?selec…s_id=21145



   またカーボンナノホーンと呼ばれるものもあり、これはグラフェンが円錐状に捲かれたもので、構造的にはカーボンナノチューブに似ている(性質はかなり相違する)のでカーボンナノチューブに含める人もいるようです。



    カーボンナノホーン(単層)の模型



さて、グラフェンに先行されたノーベル賞。カーボンナノチューブの受賞はまだあり得るのかどうか。



閲覧数765 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2010/12/11 00:57
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