2001年、チェコ政府は喫煙による医療費増加を懸念し、タバコ税の増税の検討に入った。増税を回避したいフィリップモリスは国家予算に対する喫煙の影響の費用便益分析を外部機関に依頼した。 提出された報告書によると、喫煙者が生きている間は国家予算の医療費負担が増えるが、喫煙者は早死するために、医療費、年金、高齢者向け住宅などにかかる費用が節約できること、それによれば予定された増税額(サンデル教授は記載していない)では年に1億4千700万ドル儲かることになっていた。喫煙者一人当たり1,227ドルの政府の利益だったそうだ。 そこには人間の命の価値への評価(人の早死による損害)が計算に入っていなかった。巷の騒ぎに対してフィリップモリスは人間の価値を無視した…として謝罪したとか。 功利主義においては幸福や不幸を評価し、最大多数の最大幸福を求める。正義とはそれらの評価の総合計の大きさで判断する。それらの総合的を評価するためには、各種の幸福や苦痛を評価する公平な物指しが必要だ。勿論命の評価も必要だ。評価方法の具体化手段が明確ではなく、完成されていないし、困難だ。 (以下は私の主張) 人をひき殺した時、民事訴訟では生まれたばかりの赤ん坊、働き盛りの壮年、腰もよぼよぼした高齢者(私がそうだ)とでは当然に損害賠償額は大幅に相違して当然だ。 しかし為政者が政策の作成にあたって命の評価を人ごとにどう決めるのか、老人は低い評価でいいのかどうか、これが難しい。 チェコと日本ではタバコ税に対する姿勢が相違する。日本は取りやすい所に対する課税、喫煙に対する懲罰……というニュアンスであり、医療費の増加に対応するという考え方のチェコの方が遥かに合理的。日本の課税は喫煙者の喫煙の自由を侵しているように思える。 さらにチェコは高齢者用住宅を国費で建てているのに私は感心。 Justice @Michael J Sandel ① http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 ![]() 4人の遭難漂流者 Justice @Michael J Sandel ② http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 ![]() |