1983年、私は文集「比良」を創刊しました。広告3頁を含めて94頁の小誌です。前年私は会社の労組の研究所支部の教情部長なるものを押しつけられ、逃げ回って写真班、音楽鑑賞班などの部長を引き受けたのですが、逃げ切れませんでした。文集創刊は組合の教情活動の一つとしてその年の我々のテーマとしました。
表紙にはカビが生えてきていますが…
私は編集長(発行者は支部長、と云っても、彼も副支部長、書記長、代議員議長、私も皆同年配)ですので、討論会をやってその記録を載せたり、家庭訪問をやってそにの記事を載せたりする以外に、支部員の創作、紀行文、感想文などを集め、自分でも詩を作ったり、拙文を書いたり、写真を載せたり、獅子奮迅でした。一応出来はよかったのでしょう、私が転勤になるまで第4号までは毎年発行されています。その後はどうなったか。
そこで、それまでもその後もやったことのない作詩。ここでご紹介します。人に見て貰うためにつくったものは何度目であろうと最大限活用するのが効率的…というもの。恥ずかしかろうとお構いなし。
「闇」
闇、それは全てであり永遠である。
空間
夜中にふと目が覚める。あたりは闇がいつぱいつまつている。
その中には過去の思い出も、未来の夢もある。
静寂
時々、電車の走る音、警笛、犬の声が聞えてすぐ消える。
永遠に於いて、全てが一瞬である如く。
灯
灯をつける。現実がばんやり見えて来る。光が届く範囲の狭い世界。
見えるものは灯と共に動く。闇は動かない。
宇宙
静・闇……
ある時、蚊取線香よりまだ弱く光る点が出来る……太陽。それに照らされ
二、三の点がかすかに見える…‥・地球。が、やがて消える…
静・闇…。何もなかつたかの如く。
夜道
山も、家も、木も、全て昼の色を失つている。その時自分は、
それらの真実の姿を見ているのではないだろうか。
遠吠
夜、動物達は何をおそれて、吠えるのだろうか。