10月末の信州旅行、しらびそ高原への道や飯田市上町から松川ICへ車を走らせている途中の山道で「ストップTPP」なる小さな看板が道端につつましく立っているのを何度か目にしました。
私はTPPの全項目に通じている訳ではないので、加盟可否についてはコメントできませんが、こと農業関連では早く日本の農産物輸入関税ゼロを決めてほしい…と考えています。始まりつつある農業の改革がもっと進行してから…というなら、数年先(何時かを明確に宣言するべき)にゼロにする…という目標でもいいのでしょうが。
早く日本の農産物の関税を低くし、その交換条件として他国の関税も下げさせ、日本の農産物の輸出を容易にしてほしい。勿論、工業製品の関税も…。
カロリー自給率なるナンセンスな目標を掲げ、バラマキ政策で日本の農業を壊滅状態に近づけつつある日本農政。零細農業を維持することによってコストダウンを妨害し、輸入米には7倍もの関税をかける…。我々は高価な米を食べさせられたまま。
福島の農家、田牧一郎氏が大農経営で、GPSで地均しの評価をやり、飛行機種まきなどを行い(田植えなし)、農作機械はできるだけ持たず、種まきや刈り取りは機械を持っている業者に委託する…という方法で、カルフォルニアでコシヒカリのコストを大幅に下げることに成功しています。ただカルフォルニアの気候はコシヒカリには合わないそうで味のよさで評判にはなったもののもうひとつ日本産を越えられない…ということで、ウルガイに移動して再挑戦している…とか。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2920
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2955
http://eikojuku.seesaa.net/article/292120259.html
http://agri-biz.jp/item/detail/965
この、日本人が日本の技術で作った日本米を日本で食べようと思うと7倍の関税をかけるのだろうか。
この方法は当然に日本で実施しても効果がある筈です。
TPP加盟交渉が始まってから、減反補償の廃止、企業の農業への参入解禁(特別区だけのようなのが気に入りませんが、)、都道府県境界を越えた、農協に対抗可能な農家の団体が形成されるなど、農業改革気運が高まってきていることに私は好感を持っています。
だが、信州の山里の単位面積の小さい田圃には上記米のコストダウン何とも適応することはできないし、稲作でなくても山里には何かとハンディーが多そうです。写真のような場所に、例えば牧場を作っても、躓いた牛が転がり落ちそうです。
棚田を日本の文化遺産として税金を投入して保護・継承するとしても、一部だけで十分でしょう。
農産物のコストを下げるためには零細農業を無くすべきことは当然の理でしょう。零細農業のために日本を犠牲にする訳には行かない。しかし、サラリーマン家庭に較べてこれまでも収入の少なかった零細農家の生活は守ることは必須でしょう。何か山里のメリットを生かせる産業はないものか。
心に痛みを感じながら信州の山村風景の中を走りました。