冷戦、ベルリンの壁構築は、今や20世紀の過去の出来事となりつつあるが、歴史の中で、思わぬ人間味あふれる闘争があった、という事実を知ることが出来る。 自画像を淡々と描くソ連側のスパイ描写は、ここまで冷静に自己を見つめられることがスパイの理想、ということを示唆すると同時に、スパイと言っても、やはり一人の人間であり、何より人間的な魅力があってこそ、兵器も何も使わない、人間同士のやり取りが生まれる、というわけか。 強固かつ人情味あふれる人間であるが故に、スパイ交換の交渉もスムースに行くかと思えば、ここにベルリンの壁を隔てて取り残されたアメリカ人の若者も絡んできたために、さらに困難な状況に陥ってしまう。 ここらはクールな描写ながら緊迫感もあり、ドラマとしてのツボも押さえていて、さすがにイーサン・コーエンの脚本とスピルバーグ監督の手腕も感じさせる。 これも何とか解決でき、ある程度の互いの信頼も生まれたことが、後の冷戦終結に繋がった・・・かどうかは断言できないが、やはりまずは人間同士の触れ合いが大事なことを知らせてくれる感じ。 スパイとして拘留されている間の尋問のシーンでは、ひょっとすれば、もっと激しい拷問などもあったのかもしれないが、そうした描写はむしろ意識して抑えてる感じ。 まあ、こうした過去のことはさておき、一触即発のような危機も避けられたのは、何より人間性があってこそ、というのを第一に知るべきか。 ★65点 |