チリと言えば、南米の受難の国と言われているが、1972年のクーデター以降、ピノチェト大統領の独裁政治が続いた時代の他にも、第二次大戦終了後間もない頃の赤狩りの時代、チリでも共産主義に対する弾圧が行われていた、という時代背景を知ることが出来る。 ノーベル賞を受賞した詩人が共産党員だったことから政府にマークされ、警官の追跡をかわしながら国外へ逃亡する逃亡劇かと思えば、どちらかと言えば抒情詩的に、主人公の詩も交えながら、当時の貧困層の人達の暮らしぶりや、軍による労働者の弾圧のシーンも織り交ぜ、政府に反発する側と従う側、両方の視点で振り返るチリの歴史なのか。 官能的なシーンもあるが、これも現実なのか主人公の幻想なのかよくわからず、視点が定まらない感じで、どうもテーマが見えてこない感じ。 チリの地方の人たちの暮らしぶりや、アンデスの山々の景観などは結構目を引くが、こうしたシーンも楽しむと同時に、少しばかり、チリという国の現代史を知ることが出来れば、まあ、それでも良しとするべきか。 ★55点 |