ジャンゴ・ラインハルトの伝記映画として観れば、冒頭、ジプシー・スィング・ジャズの演奏が堪能でき、主演のレダ・カテブはジャンゴとはあまり外見が似ていないが、三本指のギター・プレイなどはきちんと再現しているし、映画としてのジャンゴ・ラインハルトの演奏を間近に観ることが出来るのも一つの魅力。 欲を言えばもう少し演奏を味わいたかったし、ステファン・グラッペリとの再会、共演のシーンも観たかった感じ。 一方で、ナチス・ドイツはユダヤ人だけでなくジプシー、今で言うロマの人達にもかなりの迫害を行っていた、という歴史的事実を伝えるのも一つのテーマだが、これは少しインパクトが弱い感じ。 ジャンゴの女性関係や逃亡劇のところは少しばかり創作もあるようだが、やはり、純粋にジャンゴの伝記として、詳しい生い立ちや三本指で名ギタリストになった経緯、第二次大戦下での困難の状況などをドキュメント的に描いた方が音楽映画として味わい深くなったかもしれない。 まあ、ジャズ・ファン以外にはあまり知られていない過去のミュージシャンだけに、ジャンゴ・ラインハルトを全然知らない観客向けに、多少は社会的アピールも織り込まざるを得なかったか。 ★60点 |