大阪、梅田のOS名画座で、イラン映画「オフサイド・ガールズ」を見る。
イラン映画も、既に日本ではある程度定着したようだが、私個人も、結構イラン映画には惹かれるものがある。何より、ハリウッド映画にない味わい深さ、また、日本人にも受け入れられやすい、小津安二郎調の味わいがあるものが多いことも理由だろう。
ジャファル・パナヒ監督の映画は、少し以前に白い風船を見て以来。アッバス・キアロスタミの助監督を務めていただけに、友達の家はどこの二番煎じ的な内容は仕方ないとは言え、あまり強い印象を受けなかったのが正直なところ。しかし、この映画では、これまでのイラン映画では無かったまた新しい面白さを見せてくれている。
どこの国でも、サッカーの人気は同じ。これが、ワールドカップの出場権をかけた試合となると、国民的な熱狂になるのもまた同じもの。こうした普遍的なテーマに、女性はスタジアムで男性と一緒に試合を見ることが出来ない、というイランの特殊な国の事情が加味されることで、実に特殊な内容になる。男尊女卑のイスラム原理主義の社会での問題を訴えるものかもしれないが、決して社会性は前に出さず、ユーモラスに、肩が凝らない展開で見るものをストーリーに引き込んでいくのは見事なものだ。映画でも、やはり娯楽性が第一、というのも、私個人の主義と合致するのがまた、この映画に惹かれるところだろう。
イスラム圏の女性でも、結局は皆同じ、というのもこの映画のアピールポイントだろうが、映画の冒頭、戸惑いがちにスタジアムに入ろうとする女性が、実は、個人的な大きな理由があった、というのがエンディングで明らかになる、というのも心憎い演出だ。
個人的にイラン人との交流がある私からすれば、イラン人に結構親近感を持っているが、この映画で益々親近感を感じさせられることになってしまった。これで、機会があれば是非イランに言ってみたい、という気持ちも更に強まりそうかな・・・。
★65点