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2011年08月25日(木) 
   OB・OG便り…ということで、現在取り組んでいること、現役時代の思い出、現従業員に伝えたいこと、近況、写真をはじめられたきっかけ、作品紹介、お孫さんとの日常等々などを1,000文字ほどで紹介してほしい…との社内報編集者から依頼。

   とても1,000文字には収まらないと思うが、全テーマについて書きたいことを書いてその後に考えよう…と下記の原稿を作成しました。編集者は上手に何分の一かに縮めてこれましたが、折角作成した原稿から削除された2/3か3/4程を編集者にしか読んで貰えないのも効率が悪い…と、ここにもアップして有効利用を図ります。部分的には前に中学の同窓会誌への投稿文としてアップした部分も入っていますが。

   このような文をアップするとは、私も加齢と共に恥ずかしい…という感覚がなくなって来たのかしら。

   世の中便利になりましたね。如何に長文でもなぞってコピーして貼り付ければアッと云う間に入力終わり。あとは行を揃えるだけ。

…………………

【現役時代の思い出】
   42才で中途入社し、喜寿となった今年の五月まで34年間、生活を受けとる給料で賄っていたこと、仕事の上で周囲の人々の協力があってやって来た…という意味では長年お世話になりました。

   報酬以上に会社の利益に貢献して来た…という意味ではお世話をして来た…とも云えるでしょう。

   65才からはシニア社員でもなくなり、自営業としての業務委託でしたが。

   入社した時、膜型人工肺の開発なるテーマが待っており、使用する、実施権ももらってある特許も決まっていました。所定の機能のものの動物実験、臨床実験も終え、新しく設計した血液ポンプと共にデザインを入れ、さてライン化となった時に膜型肺はバーストした時に危険だ…との意見があって、中止になりました。開発開始前にテーマに取り上げることの社内コンセンサスが出来ていなかったために、我々のグループは2~3 年、無駄な仕事をしていたわけです。

   我々の作った人工肺が宇宙船に乗ったのは楽しい思い出です。宇宙船で魚を飼うのですが、無重力では開放水槽では水が飛び散ってしまうので密閉容器を使用せざるを得ず、水に空気を補給するのに我々の膜型人工肺が使用されました。

   在職中のもう一つの思い出は炭素繊維の製造技術の開発の仕事です。アクリロニトリルの重合、紡糸、炭素化の工程により一時的ではありましが、世界最強の繊維となったこともありますし、米国と韓国に技術輸出して利益を挙げることが出来ました。上に強烈な人がいたからこそ出来たものと思います。

   当時は朝帰りも度々で、土日も多くは出勤。充実した日々でした。守衛さんは午前2時から仮眠に入るので、その前に門を出る必要があります。それにはギリギリ間に合っても、空きっ腹を満たすラーメン屋は午前2時前にほとんど閉めてしまいます。私の知っている限り、2時以後にラーメンも喰わせる飲み屋が1軒のみ。よく利用しました。

   また少し横から見ていた…とも言えますが気相成長炭素繊維(後のカーボンナノチューブ)の開発、それを使用したリチウムイオン電池の開発も関与できたことも喜びです。これもいいデータが出た記憶があります。

   ソウルオリンピックの翌年、韓国の炭素繊維工場建設から帰国して来て、法務室兼務となりました。2日/週、1泊で本社の出るので、東京の食べ歩きをやったのも楽しい思い出です。

   特許を担当していて、自分で担当した裁判は6件(1件は欧州特許庁での口頭審理で、特許審査ではあるが異議を申し立て来たa社と3人の審査官の前で向かい合って議論する…という点では裁判と同じ)あり、5勝1敗ですが、1敗は形式的には負けですが、当社の技術が抵触しないものとの特許解釈で特許無効訴訟に破れたもので実質的には勝であり、或る意味では全勝とも言えることは誇りです。他にもう1件、ドイツ高裁では勝ち(これは上記に集計)、最高裁で和解したケースもあります。当社が被告でしたからこれも成功と言えます。その後両者は協力関係を結んでいます。

【健康】
   63歳の時、二階への階段を登ると息が弾むようになりました。病院に行くと、肺気腫だ…とのこと。ヘビースモーカーが60歳を越えると罹ることが多いとか。確かに私はヘビースモーカー。会議が多い日には50本を越えることがよくある。20歳から延々と吸い続けている。

   治せ…と云うと、喫煙者に薬をやっても意味がない…と。喫煙により肺ガンになる…とは聞いていたが、肺気腫なんて聞いたことがない。もっとPRしてほしい、医者の怠慢だと…と云ってみても始まらない。泣く泣く禁煙。ニコチン入りのガムを使用。禁煙日記を見せてやっと気管支拡張剤を処方してくれました。これは肺気腫を治す者ではなく、進行を遅らせるだけだ…とのこと。

   65歳で直腸にガン発見、即手術。出口4センチを残して直腸摘出。71歳で肺ガン発見。3.5センチあるので、さほど初期ではない。右下葉を摘出。息がますます苦しくなりました。酸素吸入器の準備を薦められましたが、四六時中ボンベと共に移動するなんて鬱陶しいのでお断り。肺をいじめりゃあ肺は強くならなくても肺の周囲の、呼吸を助ける筋肉が強くなるだろうし、肺も苦しさのあまりトカゲの尻尾にように再生するかも知れん。

   肺いじめのために運動は続けています。おかげでメタボの気配はありません。

   手術の後、5年生存率は70%と宣告されました。日本人男子の平均寿命79歳…ということは79歳までの生存率が50%…ということであり、それとあまり変わらないね…と気にはせず。この6月に5年は過ぎました。三度目の正直で、次のガンはどこかな?

【先行き】
    ある推測方法『日経サイエンス Vol.36 No.5 43頁 (2006)』(http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…=&l=30 )によれば私の寿命は84歳。遊ぶことが多くてもう少し生きたいので、評価項目の各々についての生活パターンの変更を検討しています。よく山に行っていた頃は死ぬことは格別どうってことはなかったのに、今はその間際になったら「まだ死にたくないよ~~」と喚くのではないかと気にしています。今が楽しいからなのでしょうね。

【趣味】
   ◎登山 かっては正月は南アルプスのどこかで過ごす習慣だったが、呼吸機能低下のため、もうほとんど登れません。目下リハビリ中だがハテサテ。あこがれの5000米級の山の可能性は限りなくゼロ。青蔵鉄道を使うならエベレストのベースキャンプまでは問題ないが、漢族に抑圧されたチベットの人たちを見るに忍びない。

   ◎ 音楽;当社に入社する42歳まではコーラスをやっていましたが、今は聴くのみ。昨年LPプレヤーを買い直し、CDよりは専らLPを聴き直しています。16世紀音楽からジャズまで。昔はポピュラーソングだとして敬遠していたベートーベンやモーツアルトも結構聴くようになっています。

   ◎写真  18歳でアルバイトしてカメラを購入して以来の専ら風景写真。最近は雪のある風景に凝っており、一緒に当社に中途入社した4人の仲間と毎年「フュンフ イッヒ おらが作品展」を始めました。先日5回目を終えました。雪山に登れないのは致命傷。車やロープウエーで雪を見に行きます。今年は5回目。そろそろデジカメの購入も検討しようかと思っています。

【家庭】
   子供3人、孫6人(2歳から高1まで)。人口維持のためには各夫婦もしくは女性が2.1人こどもを作ることが必要だとか。孫まで合計すると子供2.1人、子供がそれぞれ2.1人生めばいい訳だから2.1の自乗で4.4人必要だは我が家では6人いるから日本人口減少を防いでいることになります。

   世の中には色々問題がありそうで、孫達が幸せな一生を終えることが出来るよう祈りたい。

【仕事】
   今年六月から出社中止。スポーツクラブか散歩に行く以外は自宅蟄居。さてどうするか。通学児童見見守り隊とか病院で入院患者に図書を配る…等のボランティアは立派な仕事だとは思うが私にはもう一つ気が進まない。趣味三昧の生活もやりたくない。やはり趣味とは余暇にやるべきもので、別に生活の本体があってこそ。

   やはり自分の専門が生きる仕事がいいですね。化学、統計(品質管理、実験計画法、品質工学)、特許業務(調査、明細書作成、無効審判申し立て、侵害訴訟)がいい。秋になっても仕事の依頼がなければ、自分で探そうかな。当社の特許への異議申し立てを請け負ったりして…。持株会で貯めた株式はまだそのまま抱えているので、当社を攻めるよりは守るほうに回りたいですね。

【現役の人たちに伝えたいこと】
   当社の人々、特に技術系の人たちは、自分のそれぞれの専門については一流なのだろうと私は思っています。ただ専門以外の、専門技術を活かすための管理手法はどうも遅れているような気がします。

   1991年のBRIHT誌Vol.45(社内報)にも書いた事を抜き書きします。

………………………………

   人は自分の専門以外にもいろいろ勉強しなければ、自分の専門の仕事の遂行もままならなくなってきた。

   パソコンの使用は文系理系を問わず必須である。 製造現場では、管理図による工程管理、抜き取りによる原材料や製品の検査、検査コスト低減のための不良率に応じた抜き取り率の調節、EVOP(EvolutionalOperation;操業内実験による最適化)による最適化のための絶えざる工程実験などのQCの知識が必要である。また、プラントレイアウト、装置産業での適正人員の把握のためのワークサンプリングやマン‐マシンチャート、人手作業の標準作業時間の設定などのIE(IndustrialEngineering)の知識が、競争に勝つために要求される。そして今は、これらの手法はどこでも取り入れており、さらに進んでカンパン方式などに注目の的が移っている。

  研究・開発・設計部門では実験計画法や信頼性、特性が数値でとれないときの順位データや官能検査の解析方法が、大プロジェクトや工場建設ではPART、さらにはPART-COSTが、そして実験プラントでは最適化のための山登り法がそれぞれ必要である。なお、実験計画法は営業、人事管理、その他事務部門の業務改善実験にも有用である。

   企画部門ではデルファイ法、シナリオライティング、関連樹木、外挿法等の技術予測の知識が、また産業連関分析の知識も必要であろう‥‥‥。

   などなど、物知り顔にずらずら並べてみたが、とにかく自分の専門以外に多くの知識が現在は必要なのである。
(抜き書き終わり)
………………………………

   このような管理手法全般がその後20年でどの程度進展したか、私も不勉強でフォロー出来ていないが、品質管理のなかの重要な手法である実験計画法から品質工学が分岐して来て大きく発展しました。中でも2ステップのパラメーター設計は従来なかった考え方による手法であり、設計・開発部門の業務の効率化に大きく寄与しています。研究発表を効いていると各企業において開発のコストと期間が三分の一になるとの報告が多いです。

   私もここ10数年、その前の統計的品質管理に引き続いて品質工学の社内普及に努力してきたが、私の能力や立場の問題もあって、十分に広まってはいない。TQC、もしくはTQMにおいて、いわゆる作業現場を主体とするQCサークルも効果はそれなりにあるのだろうと推測するが、TQC、もしくはTQMの本体は、研究・開発・設計部門の担当者、管理職、さらには経営層の品質工学を筆頭とする各種品質管理手法、経営道具として重要なオペレーションリサーチその他の統計的管理手法などであるべきであって、これらを上層部、経営層の手足として使用出来るかどうかが、企業の力を決めるものと私は信じています、勿論、解析のためのコンピューティングは手の早い人達に任せればいいが、その結果を評価し、使用し方針決定するのは上層管理職以上であるべきだと思います。

閲覧数1,420 カテゴリ日記 コメント4 投稿日時2011/08/25 00:34
公開範囲外部公開
コメント(4)
時系列表示返信表示日付順
  • 2011/08/25 06:21
    mamedaさん
    コッチさん、おはようございます。
    本当に楽しく読ませていただきました。
    次項有
  • 2011/08/25 20:09
    コッチさん

    多方面で先端技術に関わってこられたこと、
    「すごい」の一言です。

    学生時代に、仲間内では「雑学」は将来に必ず
    役に立つとの見解で一致していて、それぞれが
    専門以外にも力を入れていたのを思い出しました。

    レベルに違いはありますが、専門バカにはなりたく
    ないですね。

    カブ
    次項有
  • 2011/08/25 23:34
    鉛筆コッチさん
    mamedaさん

    今晩は。

    読んで頂いて有り難う御座います。削除された部分にも存在価値ができたものと思われて嬉しいです。
    次項有
  • 2011/08/25 23:41
    鉛筆コッチさん
    岬のカブさん

    頑張る上や下の人たちに挟まれて関与しただけでしかないのですが、いつも新しいことに携われることは嬉しいですね。

    専門以外のことにも幅広く興味を持っていたいですね。

    私も 岬のカブさんのオカリナに見習って、ブロックフレーテを再開しようかしら。工作力はもともとないのでそちらははだめですが。
    次項有
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