企業の中にはその道の専門家以外で企業に入ったことのない人には知り難い多くの仕事があります。 私の仕事を紹介の前日記と並べてシリーズとします。できれば更に続けます。 その1 http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…09&m=8 ![]() その2 http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…09&m=9 ![]() 内部では品質工学とは製品の持つ機能性の評価技術とされていますが、これでは部外の人には理解困難でしょうね。 この機能性とは製品の持っている機能のバラツキをいいます。機能として例えば車のハンドルを例にとります。車のハンドルをある角度だけ回せば所定の方向に車が向きを変えるような機能を持っています。ところが雨が降っていたり、舗装道路に砂利が落ちていたり、はたまた、重い荷物を積んでいて、それがバランス悪く偏って荷台に置かれていたりすると、回した角度の大きさと車の方向の変化の割合の関係が狂ったりします。これを使用条件による機能のバラツキといいます。 ハンドルの回転角に応じた車の曲がりの標準角度をシグナル、条件による標準角度からのずれをノイズとして、機能性をS/N比で表します。電気屋の使用するS/N比と同じです。SとNそれぞれエネルギー単位で比を計算します。S/N比の単位は単なる比率、もしくは電気の場合と同様にデシベルグで表します。 S/Nが大きい程機能性が高い…、即ち使用件や道路状況にかかわらず同じように向きを変えるわけであり、運転しやすい車と云えます。 上記定義では品質工学を評価技術とされていますが、私はその評価方法を使用して製品設計に利用し、S/Nを高くする設計をすることにこそ意義があると思っており、多くの会社でも技術開発や設計に応用されています。 このS/N比に影響するかも知れない要因を数個選び出し、統計的品質管理で利用されている直交表を使用して実験もしくはシミレーションを行い、最適設計条件を探します。報告に依れば、製品の開発期間、したがって開発コストがほぼ1/3になることが多いようです。過去に解決出来ずに苦しんでいた問題を簡単に解決できた…との話しも聞いています。 こうやって設計された製品は、実験もしくはシミレーションに取り上げなかったノイズ要因に対しても影響を受け難いことが多いようです。世に出してから問題を発見し、その問題点を直したら、別の問題が発生し、それを直したらまた別の問題が…とやっているのをモグラ叩きといいます。いつまで経っても叩き続けです。その防止には有効なようです。新製品として世の中に出す前にこれをやっておくことを義務づけている企業も増えてきています。 車のハンドルを例にして説明しましたが、機械、化学、電気、建築など、あらよる工学に応用できます。コンピューターソフトのデバッグに利用しようとの動きもありますが、化け屋の私には知り得ない世界です。 私はこの技術を社内に広めれば、従業員持株会で月々給料から天引きで貯まった自社株を高く売れるようになると思って社内PRに努めています。何年もやっていますが、私の笛で踊ってくれる人もちょっぴり出てきており、社内の技術発表会でいい論文が二件ほど出ました。共に複数の問題点を一度に解決できました。 お茶っ人でもたまにはこのような話題があってもいいのでは? |