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2010年02月07日(日) 
   企業の中にはその道の専門家以外で企業に入ったことのない人には知り難い多くの仕事があります。
私の仕事を紹介の前日記と並べてシリーズとします。できれば更に続けます。

その1 http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…09&m=8

その2 http://www.sns.ochatt.jp/modules/d/diary_view.phtml…09&m=9


   内部では品質工学とは製品の持つ機能性の評価技術とされていますが、これでは部外の人には理解困難でしょうね。

   この機能性とは製品の持っている機能のバラツキをいいます。機能として例えば車のハンドルを例にとります。車のハンドルをある角度だけ回せば所定の方向に車が向きを変えるような機能を持っています。ところが雨が降っていたり、舗装道路に砂利が落ちていたり、はたまた、重い荷物を積んでいて、それがバランス悪く偏って荷台に置かれていたりすると、回した角度の大きさと車の方向の変化の割合の関係が狂ったりします。これを使用条件による機能のバラツキといいます。

   ハンドルの回転角に応じた車の曲がりの標準角度をシグナル、条件による標準角度からのずれをノイズとして、機能性をS/N比で表します。電気屋の使用するS/N比と同じです。SとNそれぞれエネルギー単位で比を計算します。S/N比の単位は単なる比率、もしくは電気の場合と同様にデシベルグで表します。

  S/Nが大きい程機能性が高い…、即ち使用件や道路状況にかかわらず同じように向きを変えるわけであり、運転しやすい車と云えます。

   上記定義では品質工学を評価技術とされていますが、私はその評価方法を使用して製品設計に利用し、S/Nを高くする設計をすることにこそ意義があると思っており、多くの会社でも技術開発や設計に応用されています。

   このS/N比に影響するかも知れない要因を数個選び出し、統計的品質管理で利用されている直交表を使用して実験もしくはシミレーションを行い、最適設計条件を探します。報告に依れば、製品の開発期間、したがって開発コストがほぼ1/3になることが多いようです。過去に解決出来ずに苦しんでいた問題を簡単に解決できた…との話しも聞いています。

   こうやって設計された製品は、実験もしくはシミレーションに取り上げなかったノイズ要因に対しても影響を受け難いことが多いようです。世に出してから問題を発見し、その問題点を直したら、別の問題が発生し、それを直したらまた別の問題が…とやっているのをモグラ叩きといいます。いつまで経っても叩き続けです。その防止には有効なようです。新製品として世の中に出す前にこれをやっておくことを義務づけている企業も増えてきています。
  
   車のハンドルを例にして説明しましたが、機械、化学、電気、建築など、あらよる工学に応用できます。コンピューターソフトのデバッグに利用しようとの動きもありますが、化け屋の私には知り得ない世界です。

   私はこの技術を社内に広めれば、従業員持株会で月々給料から天引きで貯まった自社株を高く売れるようになると思って社内PRに努めています。何年もやっていますが、私の笛で踊ってくれる人もちょっぴり出てきており、社内の技術発表会でいい論文が二件ほど出ました。共に複数の問題点を一度に解決できました。

  お茶っ人でもたまにはこのような話題があってもいいのでは?

閲覧数1,514 カテゴリ日記 コメント6 投稿日時2010/02/07 09:55
公開範囲外部公開
コメント(6)
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  • 2010/02/07 19:17
    内容をたぶん理解できていませんが、今回のトヨタのリコールと品質工学は、深くかかわる分野ですか?現地部品の問題とABSプログラムの問題ってちょうどハードでもソフトでも期待される品質に少し達していなかったのでしょうか。品質とコストも悩ましいバランスかなと最近結構短寿命の家電製品で感じます。
    次項有
  • 2010/02/07 20:12
    あらっ。
    びっくりしましました。
    うちの夫は品質工学を学んですでに22年。(23歳の時から)
    品質工学会が設立された1993年からメンバーです。
    時折他企業や学会で講師や発表もしております。
    私にはちんぷんかんぷんですが、田口玄一先生は日本より海外で評価されている素晴らしい人だということは知っております。

    日産は品質工学を取り入れてから、とてもいい車が作れるようになったそうですね・・・
    多くの企業が密かに取り入れてますよね~♪
    次項有
  • 2010/02/07 22:04
    鉛筆コッチさん
    スタンレーさん

    私はトヨタの問題を十分に把握できていませんが、勿論品質工学の関与は可能と思います。トヨタはあまり品質工学会で発表はしていませんが、時々講師をやっている人はおり、充分に使用している筈です。

    日本のプリウスの方は欠陥があるわけではなく、従来のブレーキと回生モーターとの受け渡し(またはバランス?)が人の感覚に少し合っていないのだと聞いています。ただ人の感覚との合わせこみを重要視していなかったのだと私は推測しています。人の感覚の数値的測定さえできれば、格別の困難はないと思います。

    米国の問題は日本では問題になっておらず、米国製のアクセルペダルの摩耗時のフロアマットとの位置関係の問題と聞いていますので、これも意識さえしていれば、何の問題もありません。対策はもうわかっていて修理を始めたようですね。マットをはずせば問題なしと聞いています。

    問題はトヨタではかかる問題の可能性の認識ができていなかったことであり、デザインレビューが不十分だったのではないか…と私は思っています。

    デザインレビューとは出来た設計図を前にして、ここからどのような問題が起こり得るかの検討会・ブレーンストーミングでのことです。

    トヨタにも少し驕りがあったのかも知れません。

    次項有
  • 2010/02/07 22:24
    鉛筆コッチさん
    うさきょんさん

    ご主人はご同業でしたか。以前、地球温暖化についてのご主人のご意見のコメントを頂いたので、そちらのご専門かと思っていました。

    私はもう何年になるのか覚えていませんが、品質工学フォーラムから品質工学会に名前を変える前から入っていました。田口玄一氏の講義を二日程聴いて、従来の品質管理に疑問を抱いていた私にこれはいけそうだな…との印象をあたえてくれたので、あとは独学しました。

    元祖田口玄一氏は体調不調で活動を停止しておられるので、品質工学会もすこし不調になったような印象を受けています。松下にいた原氏や電通大の矢野氏の頑張りが頼りです。

    私はもう後期高齢者に入りましたので、学会からは抜けようか…と考えています、社内PRは上に書いた自分の利益のために続ける積もりですが。

    この一月まで忙しかった特許関係の仕事は二月から暇になりました。




    次項有
  • 2010/02/08 08:01
    そうですね・・・田口先生が倒れられてから、いわゆるお家騒動的な感じでいまひとつですね・・・
    原先生と矢野先生が引っ張ってくださっているようですが、やはり田口先生は偉大だと夫は言っています。

    理解できれば本当に企業にとって有益な品質工学。
    うずもれるのはもったいないです。

    後期高齢者の力がまだまだこの国には必要です。
    突き進んでください。
    そして充分ご自愛くださいね。
    次項有
  • 2010/02/08 23:49
    鉛筆コッチさん
    うさきょんさん

    田口先生が偉大であることは確かですが、随分ブッキラボーで困ることも多いです。時々教祖様のおっしゃった意味がよく判らず、周りの人たちがそれぞれ勝手な解釈で解説してくれます。最近は少しよくなりましたが。

    何十年か前の、品質工学の気配もない品質管理時代、田口氏がある計算式を書いたところ、その前提が正しいかどうかが判らず、皆で議論して、その内にそれが正しいことが数学的に証明された…なんてことがよくありました。凡人の関心事には関心はお持ちでない。

    >後期高齢者の力がまだまだこの国には必要です。突き進んでください。
      現在の年齢別人口構成から働き手不足になるのは目前です。その時のために能力は磨いておかねば…。
    …と云っても10年で4%程減るだけ。まだまだ先の話しで、それまで保つかしら。
      

      



    次項有
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