奴隷制度の時代のアメリカを描いた作品は数多くあるが、この作品は実際に奴隷を体験した黒人の手記を基にした実話であり、監督も黒人ということで、ブラッド・ピットも製作に賛同して出費したそうだが、内容的には徹底的にというくらい、虐げられ、過酷な労働を強いられる黒人の苦しみや絶望感を強調されている。
やや気が滅入るくらいだが、これがまた、これまでの奴隷時代のアメリカを描いた作品とは違うところ。
延々と苦しみ続ける黒人の描写が続くからこそ、最後、ようやく自由黒人であることが証明され、元の生活に戻ることができたときの主人公の喜びも、観客によく伝わる、というわけだ。
いかに奴隷制度が非人道的なものだったのか、ということが一番のテーマだけに、北部では自由黒人が裕福な生活をしていた一方で、南部では多くの黒人が奴隷として虐げられていたことや、一部の白人には奴隷制度に反対するものもいた、という実情もあまり詳しく描く必要はなかったし、ここらはまた別の視点で描くべきところのようだ。
★65点