赤福が行政にいじめられて1年が大分過ぎたようです。
赤福事件に関しては、一般的には騙された…と怒っている人が絶対的に多いようですが、品質管理や食品安全の専門家には赤福同情者が結構います。私も同情者の一人ですが。
ある品質管理の専門家が今年の夏に、下記メールを寄越しました。
「賞味期限」で営業停止処分となった老舗の特別報道を聞いていて、おや違うぞ! 品質にこだわる老舗が出先店頭まで品質管理を適用し、味になんらの問題を生じなかったが、浪費奨励の法律に触れてしまった。三百年の老舗にとって製造を縛る法網はまだ三十年、老舗には馴染まなかった。
品質重視の老舗の赤福が法律の変遷について行けなず、トリッキーな法律にひっかってしまった…との意見には私も全く同感です。当時のお茶っ人の日記にも書いた筈ですが。
赤福餅は1回か2回しか食ったことがなくて味も覚えていないし、会社にも格別の関心があるわけでもないが、事件が起こってニュースなどを見るに付け、行政やマスコミの行為に腹立たしい思いがしました。詳細は忘れましたが、腹立たしい思いは今でもしており、霞ヶ関の連中への怒りは強まっています。
反対意見の方も多いでしょうが、私の思いを書かせてください。
食品メーカーは、それぞれの試験で製造後の安全期間を実験で確認して決定し、製造日を起点として計算された消費期限を記載する。ところが販売店は消費期限が大分先のものを売りたがらない。消費者が防腐剤が入っていると考えてしまうそうだ。 かくして製造後1週間以上もつ食品が2日ほどで消費期限が計算されて記載される。本来消費期限はほとんどこのような偽装がなされているようだ。そうして偽装して記載された消費期限間近になれば、店ではこれ見よがしに廃棄処分とする。販売品の安全性の過剰宣伝である。そうして食料自給率39%の我が国において30%以上の食品が廃棄されているようだ、まだ4~5日は食べても問題ない食品が。(30%全部が安全という訳ではないかも知れませんが。しかし、それを工夫して食品として再利用できれば自給率は70%となる)
赤福は作りたてを強調する方針で製造日と消費期限を2日の差で記載したく、記載の義務もないし定義があいまいな製造日を謹製として記載することにした。販売できるのは謹製日から2日しかないとすると、購入者は購入後1日位の余裕が欲しいだろうから謹製当日完売の必要がある。当日売りきるためには早朝に出荷し、開店と同時に販売開始することが必要である。製造作業は出荷日の朝0時から8時ころまで…では大変だ。だから出荷分は前日までに作って直ちに冷凍され、適宜解凍出荷することなる。赤福では賞味期限は解凍し、出荷される日を起点として計算した。
安全性には問題はありそうにない。
まだ3~4日は食べられる売り残り品は回収して、必要はないと思われるが念のためにまき直しして通常製品ルートへ。解凍・出荷日を謹製として記入した。トータルとして本来の賞味期限以内であることの管理ができていれば、これも安全上は問題はない。
食品の表示に関しては、厚労省(食品衛生法)と農水省(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、通称JAS法)の両者が絡む。日本の行政の縦割りの所為で一般には判りにくい。
赤福は謹製の日付に解凍日を記入するにあたて、三重県の保健所に可否を質問したが、保健所(厚労省の管轄)はJAS法の存在を知らずにOKを出したと聞いている。
立ち入り検査をした農水省は、原料の記載順を含めて2箇所の表示を早急に改めるように求めただけで、製品については安全性に問題ありとは言わなかった。
マスコミが勝手に騒ぎ、それを見て三重県知事が営業停止処分にした。
優良企業赤福は県や地元への貢献が多かったようなので、知事はマスコミの勘ぐりを恐れて取り乱したのかも知れない。
赤福は餡や餅を自社生産していたのか、それぞれ専門メーカーから購入していたのか、また後者の場合はそれぞれが決めた消費期限はどうなっていたのか、製造月日とは下請けが餅や餡を作った日なのか、赤福が赤福餅を仕上げた日なのかもあいまいである。重要な要件についてはマスコミは報道しないので、私には判らない。偽りの消費期限が過ぎたものはまき直しにより安全な方(餡?)を再度製品に仕上ていたのはコストを上げないための当然の行為。本当はまき直しの必要性もない筈だ。
私が気になるのは、消費期限の書き直しにあたってそれが偽装されていない本来の消費期限(4日か5日位?)を越えないための管理がきちんとなされていたかどうかである。何が重要かが分からないマスコミはこれも報道しない。
その管理ができていれば、表示方法が違法であるかどうかは兎も角、製品には何の問題もない訳である。事実、長期間この方法で続けてきたにも係わらず、消費者に事故はなかったようである。
昨年の騒動により赤福は冷凍装置を廃棄したと聞く。したがって今後は赤福の製品の安全性に問題が出る可能性がある。行政が意図したかどうかは兎も角、結果として不安全側にし向けた訳である。マスコミのいい加減さがそれに輪を掛けた…というよりは直接の犯人はマスコミかも知れない。 事故を起こした雪印乳業とは少し状況が相違する。赤福は縦割り行政の複雑怪奇な制度の犠牲者である。
(記憶で書いており、事実の再確認はサボって書きました。)