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2009年09月28日(月) 
 たまには仕事の話しも…


 ある程度大きい企業には、中にいないと覗うことができない、様々な職種が有ります。特許部門(その後、工業所有権、さらには知的財産権…と広がっていきますが)もその一つです。

 長年、特許も私の専門の一つになっています。前の会社でもそうでしたし、今(と言ってももう従業員ではありませんが)でもそうです。

 特許権とは自分(自社)の行った発明に関して得られる独占権です。特許権を得るためには自分の発明を世に公開する必要があります。その代償として、一定期間の独占権が得られるわけです。他人は特許権者に無断でその発明を実施することはできません。

○特許権を得るにはそれなりのテクニックが必要です。自分もしくは自社の発明をどのように認識し、どのような広さの権利を得るか。先行するどのような技術が存在するか。

○他人によって侵害された権利をどのようにして守るか。

○技術開発に当たって、他人の権利を侵害しないように、事前にどのような調査をするか。 

○自分にとって障害となる権利をどのようにしてつぶし、または狭い権利として無害化するか。

○最先端の技術情報としての公開された特許出願をどのように調査し、どのように利用するか。


 これらの職責を果たすためにはその方面の技術への理解・認識が必要ですし、法律の解釈、過去の判例の熟知、裁判テクニックなどが要求されます。

 権利といっても、土地の所有権のように境界線を明らかにした地図がある訳ではありません。権利範囲は全て文章で表現されています。したがってそこで使用されている言葉の解釈が重要になってきます。争っている両当事者は自分の都合のいい方に解釈しようとします。その争いの中で、自分の主張を説得性ある論理を構成して行わないと相手に勝てません。

 私はこれまで、六つの裁判を直接担当し、五勝一敗です。その一敗は相手の特許権を無効とするこちらが仕掛けた争いでしたが、裁判所は該当特許の権利範囲を狭いものと解釈して有効としました。その狭い解釈であれば、その権利は我が方にとっては無害になります。したがって私はこれまで全勝したと人には吹聴しています。

 当初は技術者としてはみ出された世界と思っていて一時的に落第生気分になったこともありましたが、今は結構嵌っています。技術者が更に広い知識と能力を付けて初めて可能となる職種と思っています。

米国の陪審員制度も色々調べたことがあるので、日本の裁判員制度にもおおいに関心ありです。

閲覧数1,574 カテゴリ日記 コメント4 投稿日時2009/09/28 00:48
公開範囲外部公開
コメント(4)
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  • 2009/09/28 06:09
    MIYUさん

     専門知識+裁判闘争テクニック…ですね。コッチさんすごい。

     逆に裁判に携わる人々(検察側・弁護側・裁判官)が深い専門知識を要する事件を果たしてすべて理解できるのか…と
    いう心配もありますよね。

     
     もちろん専門知識には長けているが裁判テクニックを知らないために正当な権利を侵害されるってこともあり得ますよね。

     素人的に思いつくのは医学とか建築とか
    あと外国人の犯罪で民族性とか国民性とかへの理解…

     と思っていましたが知的財産権となるともう広すぎ深すぎでめまいがしそう。

     人が人を裁く難しさは底知れないものですね。


     建築関係の裁判に携わるために建築士の資格をとった弁護士さんが知り合い(の知り合い笑)にいます。
     
    次項有
  • 2009/09/28 08:35
    こんにちわ

    今や知的財産権無しには企業経営は成り立って行きませんね。
    ご苦労された様子が良く分かります。
    私も開発技術者として企業に就職し、物作りを楽しんでいましたが、特許等を扱う部門が無く、何も知らない状態で、突然部門の設立とその担当を拝命し、抵抗をしましたが結局20年近く携わりました。
    その間、裁判にまで持ち込んだ事案はありませんが、いずれも互いの所有する権利を相互に使用することでギリギリ回避しています。
    退職前の7~8年は開発部門に戻り直接物作りにかかわるのでは無く、開発を指導することになりましたが、特許担当時に身に付いた経験は大いに役立ちました。
    今となっては昔の話になりますが。
    次項有
  • 2009/09/29 00:29
    鉛筆コッチさん
    MIYUさん

    もう少しひけらかすと、特許の裁判では、刑事訴訟も可能なのですが、まだ見たことはなく、普通は民事訴訟か行政訴訟です。したがって検事の出番はなしです。

    裁判官は初めは勉強しないようです。
    普通は予審段階(準備手続き)で原告と被告が主張しあい、争点が煮詰まってきたら、そこだけを勉強するようです。

    特許関係の代理人は辨理士もやります。これは法学部と工学部の両方を卒業する人も多いです。

    辯護士は…これは勉強して貰わなくてはいけません。
    私が社会に出て2~3年目に、日本の大繊維メーカー5社を巻き込んだ大きな特許係争があり、私もお手伝いしましたが、応援に行った半年間の仕事は裁判が始まる前の辯護士教育のみでした。

    特許係争の裁判官は気が楽だと思いますよ、企業間の勝ち負けですから。

    刑事事件で死刑判決を下す裁判官は精神的に大変だろうと思います。私はやりたくない。


    私は裁判批判をやるのが好きです。人を裁く人を裁く訳です。この間の選挙でも3人の裁判官にペケを付けました。
    1票の重みの地方による差が2倍くらいでは違憲ではない…とした人たちです。
    次項有
  • 2009/09/29 00:47
    鉛筆コッチさん
    岬のカブさん

    ご同業者でしたか。

    岬のカブさんの日記にはキノコや苔の写真が多いので、発酵関係かサプリメント関係の会社にお勤めだったのかしら…とは思っていたのですが。

    開発をやっていた人が経験を積んだ後に特許部門に移る例も多いですね。これまでの経験が少し違う方向で花が開く訳です。

    私も二つの会社で開発・特許の間を行ったり来たりです。

    貴重な経験ですから、定年後も活躍は可能だと思います。

    岬のカブさんは悠々自適の道に入られたようですが、私はまだ未練を持っています。私は別の専門も持っているので、そちらでも未だに引っかかっています。
    次項有
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