>東京新聞 ><社説>戦争と平和を考える 戦没学生の遺作を聴く >オピニオン >3 日 > 八月五日、東京都台東区の東京芸術大学音楽学部のホールで「戦没学生のメッセージ」と題するコンサートが行われました。 >今年は「学徒出陣」から八十年。 >戦没学生らが作曲した調べは、戦争の残酷さと平和の尊さを、今に生きる私たちに問いかけます。 > ◇ > 《たちばなの 真白き花に はつ夏の 小雨けむりて…》 > 木の香漂うホールに、永井和子さんのメゾソプラノの歌声が響きます。 > 同大の前身である、東京音楽学校本科作曲部の学生だった鬼頭恭一(きとうきょういち)作曲の歌曲「雨」。 >名古屋市出身の鬼頭は在学中、学徒出陣で召集され、昭和二十(一九四五)年の終戦直前、特攻隊訓練中に亡くなりました。 >二十三歳でした。 > 「雨」は同十九(四四)年秋、福岡での訓練中の作曲です。 >婦人雑誌に投稿された詩に感銘を受けて曲をつけたとされます。 > 軍歌など勇ましい歌曲が席巻していた戦時に作曲されたものとは思えない、やさしく、胸にしみ入るようなメロディーです。 > コンサートでは鬼頭が遺(のこ)した二曲のほか、村野弘二(むらのこうじ)ら同校から学徒出陣した戦没学生、新たに確認された戦没音楽教員、竹之内喜八郎(たけのうちきはちろう)の作品など計十五曲が演奏されました。 >いずれの曲も時を超えてあふれる才能を感じさせます。 > 同十六(四一)年の太平洋戦争開戦前、二十歳以上の男性は兵役義務がありましたが、大学など高等教育機関に在籍する学生は卒業まで徴兵が猶予されていました。 > 学問は国家建設の礎との考えからで、戦時下でも当初は学生は徴兵されませんでしたが、戦況の悪化に伴って兵士不足が深刻化し、それを補うために、学生も徴兵すべしとの声が高まります。
ああしてこうすりゃこうなると分かっていながらこうなった。無謀な政治の祟りでしょうね。
>◆ペンを銃に持ち替え > そして同十八(四三)年十月二日、東条英機内閣は文科系に学ぶ学生への徴兵猶予を停止。 >同年十二月には召集された学生がペンを銃や剣に持ち替え、戦場に赴いていきました。 >「学徒出陣」です。 > 学生を戦場に送り出す壮行会は全国各地で行われました。 > 東京の明治神宮外苑競技場(現国立競技場)では同年十月二十一日、文部省と学校報国団の主催で「出陣学徒壮行会」が行われ、東京周辺の七十七校から約二万五千人の学生が降りしきる秋雨の中を行進しました。 >東京音楽学校の学生も陸軍戸山学校軍楽隊とともに行進曲の演奏をしたそうです。 > スタンドを埋め尽くした後輩や女子学生が見送る様子はラジオで全国に生中継され、ニュース映画が映画館で上映されました。 > 出陣した学徒は十万人に上るとされますが、何人が召集され、何人が亡くなったのか正確な数は分からず全体像は不明です。 >記録は空襲で焼けたり、意図的に焼却されたと指摘されています。
我々は過去から貴重な教訓を学ぶ必要がありますね。失敗は成功の母である。
> 戦後、一部の大学では有志らにより記録が掘り起こされつつありますが、戦没学生の音楽作品は調査が遅れていました。 > 東京芸大は戦後七十年の二〇一五年、鬼頭の楽譜が遺族から寄贈された機に調査を本格化させ、一七年から戦没音楽学生の作品などを披露する「戦没学生のメッセージ」プロジェクトを始めました。 >コンサートは今回で五回目です。 > 回を重ねるごとに対象を広げ、東京音楽学校の学生に限らず卒業生や教師、同校以外の学生らも含めて、戦争で犠牲になった音楽家を取り上げてきました。 > プロジェクトを進めてきた大石泰(おおいしゆたか)東京芸大名誉教授は「戦没学生の作品に光を当てるのは、学生を戦争に送り出してしまった学校側の責任です」と語ります。 > 戦争で亡くなった音楽学校の学生の中には、鬼頭のように将来を期待された逸材が多くいたことでしょう。 >無事復員できれば、戦後の音楽界で素晴らしい活躍ができたに違いありません。 > 戦争が音楽学生、音楽家の才能を断ち、将来を摘んだのです。 >◆平和国家歩んでこそ > 今、街に音楽が響き渡り、世界的コンテストで入賞する音楽家を多く育てることができるのも、戦後日本が平和国家の道を歩み続けてきたからにほかなりません。 > 戦争で優秀な学生の才能が断たれたのは音楽に限りません。 >その分野は学問、科学、芸術、スポーツなど多岐にわたります。 > 学徒出陣から八十年。 >再び自分たちと同じ運命をたどってはならない。
好きで 好きで大好きで 死ぬほど好きな戦争でも 原爆投下にゃ勝てはせぬ 泣いて崩れた敗戦日
>戦没学生が遺した数々の調べは、戦火のやまない現代に、そう語りかけているようです。
そうですね。我々日本人のノンポリ・政治音痴の性格を直さなければ、自国の政治家の横暴は抑えられませんね。従って、過ちは繰り返されます。
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