>AERA DIGITAL >「日本がこれまで非軍事主義を貫けた背景」戦後80年 “浸透した平和文化” を考える一冊 >大町和基によるストーリー・ >6時間・ > AERAで連載中の「この人のこの本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。 > 少子高齢化は、経済や年金のみならず、日本の安全保障の今後にも大きな影響を及ぼす。 >ベトナム系米国人の国際政治学者で広島市立大学でも学んだ著者であるトム・フォン・リさんは、著書『日本 老いと成熟の平和』で「老い」という人口動態の側面と、戦後に築かれた「成熟」した平和規範の両面から、日本独自の「非軍事主義の生態システム」と平和の行方に迫る。 >被爆者から元防衛相まで70人超から聞き取った生の声も紹介。 >リさんに、同書にかける思いを聞いた。 >* * * >「今年は戦後80年にあたるので、この日本語訳版の出版はまさに絶好のタイミングだ。 >これを機に日本がこれまで非軍事主義を貫くことができた背景をみなさんに知ってほしい。 >本の執筆のために元防衛相や豊富な知識を持つ専門家から被爆者に至るまで70人超の人にインタビューし、原爆ドームで平和活動家たちの話にも耳を傾けた」 > こう語るのは『日本 老いと成熟の平和』の著者トム・フォン・リ氏(41)である。 > 世界がますます不安定になる中、日本も「普通の国」になるべきだという専門家が欧米の国際政治学者の中でも増えているが、「日本は極端なケースだが、より平和な政治体制や軍事体制を維持してきたことで、他の国々にとって教訓になると思う」と言う。 > 日本の非軍事主義の生態システムをコンピューターに喩えて、人口動態という生物学的な「ハード」の部分と平和志向の社会・文化という「ソフト」の双方から構成されるシステムとみることは、頗(すこぶ)るユニークな視点であるが、一部の人から時代遅れであると言われている憲法第9条を改正すべきであるという主張について、リ氏は「日本が日米同盟に守られていることもあるが、第9条の下で、自衛隊の存在を認め、自衛隊の海外での活動をある程度許容するようになったことを考えれば、改正の必要はない」と喝破する。 >国際政治学者のイアン・ブレマー氏でさえ、日本の核武装を正当化しているが、リ氏はこう反論する。 >「国防が国家の柱石であると言っても過言ではないくらい、世界がますますバイオレントになっていることは間違いないが、日本が中国に軍事的に伍(ご)するべく、核武装するとどうなるか。 >被爆者や平和活動家の論理によれば、核兵器は短期的には戦略的安全保障をもたらすが、長期的には代償が高すぎる。 >また、経済的な側面だけではなく、社会や環境への代償も考慮する必要がある。 >多くの学者はその莫大な代償について全く説明していない」と批判する。
平和の代償に糸目をつけてはならない。先の大戦では我が国は安物の装備で多数の命を無駄にした。
> その代償からみると、少子高齢化と憲法や戦争記憶などの諸規範が形づくる日本独自の非軍事主義の生態システムにとって、核武装は代償が高すぎるのではないか。 >「戦後80年という節目だけではなく、来年も再来年も私の言う『浸透した平和文化』を平和活動家がどう維持しているのか見てほしい」とリ氏は嘆願する。 > 長い間、日本はアメリカのおかげで、戦争のことをあまり考えずに済んだ。 >戦争は起こらないに越したことはないが、「治に居て乱を忘れず」という易経の教えも忘れてはならない。
そうですね。 ウクライナはソ連崩壊により核兵器を放棄した。しかし、プーチン大統領は非核国ウクライナに侵攻し核兵器使用をちらつかせて恫喝した。 これにより我が国の非核三原則に依拠した安全神話は消滅した。非核三原則とは 核兵器を「持たない、つくらない、持ち込ませない」の三原則を指すものと1967年 (S42) 12月に佐藤栄作首相は説明した。日本人のお花畑はもうない。 「世界大戦を含むあらゆる戦争はすぐ終わらせられる。講和条約を結んだ場合、あるいは1945年の米国による広島と長崎への原爆投下と同じことをした場合だ」 (ロシアのメドベージェフ前大統領) ‘ウクライナでの戦争の教訓は、抑止力によって未然に戦争を防ぐ方が、侵攻してきた敵を後退させることよりも遥かに望ましいということだ。’ (マシュー・ポッティンジャー) ‘ロシアが力による現状変更を行っている国はG7(主要7カ国)では日本だけだ。北方領土だ。だから、ウクライナ問題で、ロシアを一番強く批判しなければいけないのは日本だ。’ (小野寺元防衛相) 戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり。= 真に勝つことは自らの力を増すことで、戦わずして勝つことが最善である。 わが国は平和国家であるから自国の強大な抑止力 (物量) を相手国に見せつけながら、国家の最善を目指さなくてはならない。
>(ジャーナリスト・大野和基) >※AERA 2025年9月29日号
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