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2025年03月29日(土) 

 

>現代ビジネス   >「日本」を考えるなら「ゼッタイの必読本」…強く薦める「2人の文豪」   >松岡正剛 (編集者) によるストーリー・   >21時間・  

>昨年逝去した「知の巨人」松岡正剛が、最期に日本人にどうしても伝えたかった「日本文化の核心」とは。   

>2025年を迎えたいま、日本人必読の「日本文化論」をお届けします。   

>※本記事は松岡正剛『日本文化の核心』(講談社現代新書、2020年)から抜粋・編集したものです。   

>『夜明け前』が問うたもの   

>島崎藤村に『夜明け前』という記念碑的な小説があります。   

>「木曽路はすべて山の中である」という有名な出だしで始まります。   

>文庫本でも4冊になる大長編です。   

>日本を考えるならゼッタイの必読本です。   

>主人公は藤村の父をモデルにした青山半蔵。   

>舞台は中山道の木曽馬籠。   

>時は幕末維新。   

>半蔵はその地で17代つづいた本陣を実直に守っている庄屋です。   

>半蔵は平田篤胤派の国学者に国学を学び、黒船到来のあとの日本がどうなるか、どきどきしながら木曽路の奥から耳目をそばだてています。   

>そこへ王政復古の大号令がかかったという嬉しいニュースがとどきます。   

>万歳!でした。   

>半蔵は古代のような王政が復活するなら、周辺の山林を整えて村の者たちとともに自然共同体のような日々がおくれるようになると確信します。   

>しかし、その後の明治日本のあさましい変貌ぶりを見て驚いた。   

>西洋文化に尻尾をふるような文明開化の足音が高まるばかりです。   

>やがて山林伐採禁止令が下されました。   

>半蔵はこれは何かの誤解による下令だと思い、意を決して上京し、自分のような者でも本来の日本づくりに役に立てるならと、教部省に出仕することにしました。   

>人づくりに奉仕したかったのです。   

>しかし、同僚たちは半蔵の古い考え方を冷笑し、もう国学なんて役に立たないと言う。   

>傷心した半蔵は、扇に憂国の歌を書きつけて、折から通りかかる明治天皇の行列にその扇を投げつけます。   

>物語はここを折り目に、半蔵が馬籠に戻ってしだいに沈思黙考していく日々と、それでも飛騨の神社の宮司となってせめてもの努力を重ねようとする日々を、次々と描きます。   

>けれども半蔵には決定的なスティグマが刻まれてしまっていたのです。  

>それを藤村は「或るおおもと」と書きます。   

>半蔵にとって、明治日本は「或るおおもと」を失ってしまった虚像になっていたのです。   

>晩年、半蔵がしだいに狂って、この物語は暗澹として閉じられます。   

>藤村には『家』という小説もあります。   

>舞台はやはり木曽ですが、時代は明治末期になっていて、登場人物たちは少しハイカラになりつつある町に暮らしています。   

>物語はその町の2つの旧家、小泉家と橋本家をめぐって、その当主たちと息子たちの十余年にわたる生きざまと周辺の人間関係を描き出します。   

>当主たちが伝統的な「家」に縛られているため、息子たちはその呪縛から脱しようとしているのですが、主人公(藤村自身)の小泉三吉はそのどちらにも加担できず、ひそかに詩や小説などの文筆で身をたてて暮らしています。   

>けれどもどうしても「家」が離れない。   

>三吉はいったい自分が育ってきた「家」とは何なのだろうと悩みながら、恋に落ち、抒情に憧れ、人間性を探求しようともがきます。   

>三吉の父は『夜明け前』同様に狂死してしまいます。   

>自然主義文学の代表作となった『家』ですが、その全編にはやはり明治日本が失った「或るおおもと」が問われているのです。    

>「家の死」を見つめた森鴎外   

>藤村を読んでいると、日本のかつての「家」が守っていたものが暗示されていること、しかしその守っていることが静かに崩壊しつつあるか、大きく訂正されつつあることが、ひしひしと伝わってきます。   

>いったい日本の「家」は何を守っていたのでしょうか。   

>そのことをもう少し考えるために、今度は森鴎外の小説を紹介して、そのあたりを覗いておこうと思います。   

>鴎外は津和野出身の藩医の息子で、自身も東大医学部を卒業した軍医でした。   

>陸軍の派遣留学生としてドイツで四年を過ごした。   

>だから西洋の知識と文化がぞんぶんに身についている知的作家です。   

>デビュー作の『舞姫』は日本の青年とドイツの娘エリスとの淡い恋物語ですし、初期にはアンデルセンの『即興詩人』やゲーテの『ファウスト』やカルデロンの詩篇などの翻訳も手掛けます。   

>その後、明治を代表する文人として崇められ、「スバル」創刊後は旺盛な作家活動で人気も博します。   

>金井湛という地方青年の東京の日々を描いた『ヰタ・セクスアリス』では奔放な性の文芸にも挑んでいる。   

>ところが明治天皇が崩御した直後、乃木希典大将が天皇にお詫びしなければならないとして夫人とともに殉死したことを知って、愕然とします。   

>このとき鴎外は、自分は背筋をのばさなければならない、書くべきことはもはやちゃらちゃらした『ヰタ・セクスアリス』などではない、これからは「簡浄の美」に向かわなければならないと決意するのです。   

>こうして1週間もかけずに「中央公論」に『興津弥五右衛門の遺書』という短編小説の原稿をもちこみます。   

>日本における「お家大事」を綴ったものでした。   

>続いて、鴎外は代表作『阿部一族』を発表します。   

>江戸時代初期に肥後藩主の細川忠利の死後に、重臣たちが次から次へ大量に殉死したという実際の出来事に材を取った物語で、壮絶な武士の覚悟の世界を描いています。   

>テーマはやはり「日本の家」とは何かということでした。   

>鴎外は「家の死」を感じることによって「日本の家」を炙り出したかったのです。   

>これも大傑作、必読の1冊です。   

>このあと、鴎外はいっさい西洋的題材を取り上げず、死ぬまで歴史小説(稗史小説)だけを書きました。   

>『山椒大夫』『澁江抽斎』『伊沢蘭軒』『北条霞亭』などです。   

 

日本人の「家」は人間序列の言い換えですね。序列人間は自己の序列に強い帰属意識を持っている。   

「家の死」は序列の消滅ですね。序列人間の日本人には心もとないかぎりです。   

 

日本語の文法には階称 (言葉遣い: hierarchy) というものがある。だから日本語を発想する場合には、‘上と見るか・下と見るか’ の世俗的な判断が欠かせない。上下判断 (序列判断) には、通常、勝負の成績が用いられる。近年では偏差値なども都合の良い資料として利用されている。だから難関出身者たちが社会で幅を利かせている。わが国が学歴社会であるというのも、実は序列社会の言い換えに過ぎない。だから、わが国の学歴社会は学問の発展には何ら貢献していないことを知っている必要がある。 順位の比較は没個性的でなくてはならない。だから、序列競争の励みは個性の育成にはならない。     

 

日本人の礼儀作法も、序列作法に基づいている。だから、序列社会の外に出たら序列なきところに礼儀なしになる。礼儀正しい日本人になる為には、世俗的な序列順位を心得ている必要がある。'人を見損なってはいけない' という想いが強迫観念の域に達していて、人々は堅ぐるしい日常生活を送っている。ため口を禁じられているので、相手と対等な立場でものをいう事ができない。人間が真に平等であるという実感を体験したことがない。こうした観念は天皇制・家元制度・やくざの一家の構造にまでつながっている。   

 

日本人は序列の存在を知れば、それが一も二も無く貴いものであると信ずる共通の序列メンタリティを有している。その程度は序列信仰の域に達している。日本人の尊敬は、序列社会の序列順位の単なる表現に過ぎないため、個人的精神的には意味がない。下々の衆は上々の衆の祟り (仕返し) を恐れて神妙にしている。上々が無哲学・能天気である事については、下々にとって何ら気になることではない。だから、日本人の尊敬と序列作法には浅薄さが付きまとう。   

 

日本人の政治家にも、政治哲学がない人が多い。だから、我々の未来社会の有様を相手に言って聞かせる術がない。それは非現実 (考え) の内容を盛り込むための構文が日本語に存在しないからである。序列人間は人間の序列を作っていて、上位の者 (先輩) と下位の者 (後輩) の間に自分を差し挟むことにより自分たちの存在をウチソト意識として確認し合っている。だから、自己の所属する序列に並々ならぬ帰属意識を持っていて義理 (序列関係から生じる義務) を果たすことに懸命になる。そして、定刻通りに帰宅しないなど義理の仕事にやりがいを感じている。無哲学と序列メンタリティの相乗作用により派閥政治は無くならない。周囲の序列仲間が自分たちの序列に対する貢献度を評価する。これにより自己の順位は上昇する可能性がある。それが日本人の人生における楽しみである。だが叙勲の獲得は難しい。    

 

 

 


閲覧数30 カテゴリアルバム コメント0 投稿日時2025/03/29 16:46
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