>現代ビジネス >戦後の歯止めを外した防衛費増額…敗戦の教訓は失われてしまうのか? >菊池正史によるストーリー・ >13時間・ >安倍元首相の死からわずか3年。 >なぜ自民党はかくも凋落したのか? >長らく日本を支配してきた自民党政治が揺らぎつつあります。 >参院選の結果を受けて、今後の政治状況はどう変わっていくのか? >講談社現代新書の新刊『自壊する保守』(菊池正史 著)は、第一線で活躍してきた政治ジャーナリストが混迷を続ける政治状況を読み解く「政治ミステリー」です。 >本記事では、〈国葬問題、裏金問題、旧統一教会…次々に浮かび上がる安倍元首相の「遺産」 自民党を揺るがした衝撃〉に引き続き、安倍路線を継承した岸田元首相の安全保障政策と、防衛費について詳しくみていきます。 >※本記事は、菊池正史『自壊する保守』より抜粋・編集したものです。 >「強さ」という呪縛 >岸田は、安全保障の分野でも安倍路線を継承した。 >岸田が派閥の長を務めた宏池会は、1957年6月に池田勇人を中心に結成された、旧自由党の流れをくむ保守本流の派閥である。 >党内では伝統的に穏健な政策集団として知られており、岸田も比較的リベラルな政治家で、ハト派的な安保政策をとるものと予想されていた。 >しかし、予想に反して、岸田の安保政策は安倍以上にタカ派だった。 >岸田内閣は2022年12月に、国の安全保障に関する戦略として国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画(以下、防衛3文書)を策定した。 >新たな安保戦略では、戦後一貫して維持されてきた「敵基地への攻撃手段を保持しない」としてきた政府方針を転換し、相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」の保有を打ち出した。 >タカ派の安倍ですらできなかった重大な方針変更である。
ロシアのウクライナ侵攻に関係がありそうですね。(2022.2)
>岸田は、反撃に必要なスタンド・オフ防衛能力強化などのため、防衛費を2027年度までに対GDP比2%に引き上げ、2023年度からの5年間で総額43兆円に増強することまで決めた。 >この予算で、アメリカから長距離巡航ミサイル「トマホーク」を400発購入する方針も明らかにした。 >これまで日米安保条約の中で、アメリカが「攻撃の矛」、日本は「守りの盾」となる基本原則が貫かれてきたが、もはやこの原理原則は形骸化したといっていいだろう。
そうですね。攻撃の矛を他国に任せることはできませんね。
>安倍の側近だった官邸官僚の一人も、「トマホークは矛です。 >前に進む盾はありえない。 >安倍の時代にこんな議論はありえなかった」と述べている。 >岸田は防衛3文書策定を「安保政策の大転換」になると認めているが、伝え聞く限り、岸田がこれに逡巡したり、思い悩んだりした素振りはない。 >決定はいとも簡単に短期間で行われた。 >国の命運を左右する「安保政策の大転換」をするならば、国会などで、憲法や日米安保条約との整合性を検証し、「反撃能力」の有効性について検討する必要があるが、残念ながらそうした丁寧な議論が行われることはなかった。
そうですね。 ウクライナはソ連崩壊により核兵器を放棄した。しかし、プーチン大統領は非核国ウクライナに侵攻し核兵器使用をちらつかせて恫喝した。 これにより我が国の非核三原則に依拠した安全神話は消滅した。非核三原則とは 核兵器を「持たない、つくらない、持ち込ませない」の三原則を指すものと1967年 (S42) 12月に佐藤栄作首相は説明した。日本人のお花畑はもうない。 「世界大戦を含むあらゆる戦争はすぐ終わらせられる。講和条約を結んだ場合、あるいは1945年の米国による広島と長崎への原爆投下と同じことをした場合だ」 (ロシアのメドベージェフ前大統領) ‘ウクライナでの戦争の教訓は、抑止力によって未然に戦争を防ぐ方が、侵攻してきた敵を後退させることよりも遥かに望ましいということだ。’ (マシュー・ポッティンジャー) ‘ロシアが力による現状変更を行っている国はG7(主要7カ国)では日本だけだ。北方領土だ。だから、ウクライナ問題で、ロシアを一番強く批判しなければいけないのは日本だ。’ (小野寺元防衛相) 戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり。= 真に勝つことは自らの力を増すことで、戦わずして勝つことが最善である。 わが国は平和国家であるから自国の強大な抑止力 (物量) を相手国に見せつけながら、国家の最善を目指さなくてはならない。
>これは、リベラルだった岸田が豹変したというよりは、安倍が演じた「強いリーダー」像を引き継いで演じる必要があったためだろう。 >なぜなら第2次安倍政権以来、軍事的な強化路線を、多くの国民が支持していたからだ。 >背景には、緊迫を強める国際情勢があっただろう。 >中国の軍事大国化、北朝鮮のミサイル開発、そしてロシアによるウクライナ侵攻がリアルタイムで進行している以上、防衛力強化はやむを得ないという風潮が国民の中にも広がっている。 >岸田も、自らの支持を固めるために、その「強さ」を踏襲せざるを得なくなっていたのだ。
そうですね。戦わずして勝つことが最善ですね。
>「ウクライナは、あすの東アジアかもしれない」 >こう岸田が繰り返したように、「攻撃されるかもしれない」という危機感が高まる中で、「議論ばかりしていても仕方がない」という潜在的な世論が、岸田の決断を後押しした。
そうですね。日本人は議論好きというよりも意思がない。それで行動に出られない。
>戦後保守本流を自任する宏池会の領袖を務める岸田だったが、吉田茂や池田勇人が掲げた「軽武装」という理想への意識は極めて弱くなっていたようだ。
そうですね。軽武装は抑止力にならないことが国民によく分かった。
>戦後を脱却した軍事費 >かつて防衛費の増額は、国会で与野党が最も激しく対立する争点であり続けた。 >象徴的だったのが、「防衛費は国内総生産(GDP)の1%以内に収める」という1%シーリングだ。 >これは、1976年に三木武夫内閣が軍事大国化の歯止めとして閣議決定したものだ(当時は国民総生産=GNP)。 >このシーリングは87年の中曽根康弘内閣によって撤廃されたものの、その後も、予算編成において「1%」は天井として強く意識され続けた。 >事実、2022年度の防衛費の対GDP比は0.93%に収められている。 >ところが岸田内閣になって急速に防衛関連予算が増額されて、防衛費の対GDP比も急上昇している。 >2024年度は1.6%、25年度は1.8%に上がり、政府が27年度の達成をめざす「GDP比2%」に近づきつつある。 >敗戦の反省から、軍事大国路線を歩まぬようにはめられたタガは完全に外れてしまった。
そうですね。それは軍事大国路線が我が国の抑止力になることが分かったからです。
>トランプ政権で、米国防総省ナンバー3の国防次官に就いたエルブリッジ・コルビーは日本の防衛費をGDP比3%まで引き上げるべきだと主張しており、アメリカからの防衛力強化の要求はさらにエスカレートする可能性もある。
そうですね。戦わずして勝つことが最善である。核兵器の一方的放棄には意味がない。
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我が国の日本人の記事は実況放送・現状報告の内容ばかりで、読者のためになる所が少ない。‘それでどうした、それがどうした’の問いに答を出せる編集者が必要である。我々は自己の見解を述べる教育を受けてこなかった。高等教育機関において自己の個人的見解示せば学位 (博士号など) が得られる。だが、自己の見解を含まない発言には価値が少ない。我が国には社会の木鐸 (ぼくたく: 世の人を教え導く人) が必要である。そうでなければわが国は迷走に迷走を続けて、いつまでたっても国家目標に到達しない。だから、わが国の政治家は若者にも夢と希望を与えない。
イザヤ・ベンダサンは、自著 <日本人とユダヤ人> の中で ‘自らの立場’ について以下のように述べています。 何処の国の新聞でも、一つの立場がある。立場があるというのは公正な報道をしないということではない。そうではなくて、ある一つの事態を眺めかつ報道している自分の位置を明確にしている、ということである。 読者は、報道された内容と報道者の位置の双方を知って、書かれた記事に各々の判断を下す、ということである。 ・・・・日本の新聞も、自らの立場となると、不偏不党とか公正とかいうだけで、対象を見ている自分の位置を一向に明確に打ち出さない。これは非常に奇妙に見える。 物を見て報道している以上、見ている自分の位置というものが絶対にあるし、第一、その立場が明確でない新聞などが出せるはずもなければ読まれるはずもない。・・・・・ (引用終り)
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