SNS(お茶っ人)を日常生活の中でどう使っているのか、日常生活の中で本当に必要と感じているのか、など使う側の実態を把握しないままの議論では、定着しない。
「地方創生と地域情報化」が毎日の生活にどうかかわっているかの市民の理解のないままの議論では、単にSNSの入れ物を変えても同じことの繰り返しになってしまうだろう。SNSがなかったら生活に困るのか。本当に楽しくなっているのか。また生活が豊かになるのか。
市民に理解できる具体的なわかりやすい言葉で、その根本を聞きたい。
第二次世界大戦以降、我が国は、一貫して首都東京に人を集めることで経済成長を遂げてきました。今日、我が国が人口減少局面を迎えているにも関わらず、東京への人口の一極集中が続き、地方都市の持続性が急速に低下しています。出生率の低い東京に若年層が集まることにより、人口減少に拍車をかけることになっています。このように、「東京栄えて、地方滅び、日本が滅ぶ」といった、東京中心の成長モデルは限界に達し、我が国全体の活力の低下をもたらす原因のひとつになっています。 今後は、地域を自立させ地方が成長する活力を取り戻すことが重要になっています。20世紀後半に登場した地域情報化の流れは、地方の情報発信能力を高め、住民のコミュニケーションを高度化することにより、地域に潜在する資源や人材を可視化して、地域社会の活性を実現するものでした。しかし、ユビキタスな情報インフラや豊富で安価なアプリケーションが充実する中で、ヒト、モノ、カネだけでなく情報までも中央への偏在が進み、地域情報化はその目的を果たせてはいません。この負のスパイラルをもたらすトレンドに歯止めをかけるには、イノベーションを誘発する地域のプラットフォームの存在が不可欠で、それを支える地域の情報基盤が必要です。 一方で、「食料」「エネルギー」「水」など人間生活に必須の要素や、豊かな「歴史・文化」、「自然の癒し」など地方が有する貴重な資源なしに、都市の生活は成り立たないという意識は東京圏においても高まっています。「地方栄えてこその東京」という、交流と連携による新たな都市と地方の「共生の未来図」を描いていく必要があります。 わたしたちは10年前、地域SNSというツールにその夢を託しましたが、いまや圧倒的なグローバリズムの大きな流れの中に飲み込まれようとしています。この影響により、大切な地域情報を発信しても、タイムラインに流されて霧散しています。地域ポテンシャルの基盤であるソーシャルキャピタルの源泉である、良質でリアリティの高いつながりを創造する地域情報が受け皿を失って、その存在すら消失するという状態になりつつあるのです。 20世紀末に我が国でピークを迎えたパソコン通信は、大手BBSと草の根BBSに分かれて、それぞれの特長を活かして浸透していました。その後、インターネットが出現しネットコミュニケーションの主体は一気にグローバル化しました。「WEB2.0」が唱えられてくると、SNSが登場してネットの交流は、全国規模と地域エリアに分化しました。 このように、情報化は広域と地域を行き来しながら成長してきており、現在グローバルに触れている流れも、ローカルが見直される時期が遠からず訪れるであろうと考えられます。このときに、人材をはじめとする地域の豊かなリソースやネットワークを柔軟に組み込み、時代に即応したプラットフォームを提供する情報基盤の存在が、持続可能な地方創生の命運を握ることになるのです。 |