掛川市の掛川駅から湖西市の新所原駅までを結ぶ静岡県西部のローカル線「天竜浜名湖鉄道」。地元の人たちから「てんはません」として親しまれている庶民の足です。沿線にはさまざまな観光スポットが点在していて、「日本の原風景と出逢う旅」というキャッチフレーズがぴったり。その39ある駅の1つ「浜名湖佐久米駅」では、冬限定でとっても衝撃的な光景が見られるということで、三島の帰りに立ち寄ってきました。 浜名湖佐久米(はまなこさくめ)駅は、すぐ目の前に浜名湖が広がる自然豊かなのどかで小さな無人駅。浜名湖県立自然公園にあって、奥浜名湖自然歩道「佐久米コース」の起終点。奥浜名湖自然歩道には、浜名湖北部から引佐・細江・三ケ日にわたる4つのハイキングコースがあって、佐久米コースは約5.7kmのバードウォッチングコースです。普段は地元住民の交通の便として使われる駅が、なぜか冬だけカメラを片手にした観光客で大賑わいとなります。 「ゆりかもめ」といえば、「新橋!」と応えるのが普通ですが、ここでは正真正銘本物の「ゆりかもめ」が、我が物顔で線路内やホームの上にいます。いえいえ、ただ「いる」というレベルではなく、最盛期には400~500羽が乱舞しているのです。例年11月~3月の時期にだけシベリアから飛来してくる渡り鳥のゆりかもめのおかげでナニコレ珍百景では、珍百景No.883「冬だけにぎやかな駅」として紹介されました。 最初は数十羽だけだったそうですが、地元の人が餌付けをしているうちに、あっという間に数百羽になったとか。目がクリっとしていてかわいいゆりかもめですが、さすがにこれだけの数になるとヒッチコックの「鳥」を思いださずにはいられないくらい迫力があります。電車が来てもものおじせずに、大勢で車輌の前を乱舞する様子は、その根性の据わり方に感心します。 浜名湖佐久米ではゆりかもめは観るだけでなく、餌付け体験をすることもできるんです..ちょっと怖いけど~。無人駅なのに喫茶店「かとれあ」が併設されていて、こちらでゆりかもめのえさ「パンの耳」を購入します。もちろん、持ち込みもOKです(笑)。ただし、パンの耳は長く切っておかないといけません、短いとえさと一緒に指をつつかれて痛いですから。とにかく、バタバタと飛び交いながら、手先のパンの耳を見つけて寄ってくる迫力満点の体験は、生まれて初めての愉しさでした。 |