ファンのみなさま、お待たせしました。 太陽の島・沖永良部島から、今年も共同購入を始めます、無農薬完全有機栽培の「インカのめざめ」。昨年は不作だったのですが、今年は一転「大豊作」の兆候!。非常に品質の良いジャガイモが、たくさん収穫できそうだということです。 辣腕営業マンとして将来を嘱望されながら、今話題の「電通」を辞して、ふるさと沖永良部島に戻って農業に転身した伊村農園の伊村達児さんのパーソナルストーリーを書き上げましたので、3話に分割してご紹介します。伊村さんのジャガイモづくりの志しに共感頂けると幸いです。 『ふるさとの島の赤い土で、究極のジャガイモを作る -大手広告代理店辣腕営業マンから専業農家へ、愛と夢のUターン!』 「めんしょり♪(ようこそ)」。 海岸線には南国らしい可憐な花々が咲き乱れ、青い海と鮮烈な色彩の共演を見せる。 奄美大島と沖縄本島の間にある鹿児島県沖永良部(おきのえらぶ)島は、周囲40km・人口約1万5千人の南海の小島。 那覇(沖縄)から飛行機で約1時間、鹿児島からだと1時間半もかかり、観光地としても決して交通の便利がよいとはいえない。 琉球王朝時代にはその一部だったが、薩摩藩に占領されたり、明治には西郷隆盛が島流しにされたりと、琉球と大和の文化が入り混ざって、島の雰囲気は独特で魅力的だ。 40万年かけて隆起した珊瑚礁でできた島の最大の観光資源は、世界屈指の美しさの鍾乳洞群。深い森が茂る中には、大小200本・最長10キロに及ぶ別世界への入り口がぽっかりと口を開ける。 ●青い海が育んだ命を生み出す赤い土 「よかった~。今年は例年になく豊作になりそうだ♪」 伊村達児さんは、10ha(1haは100m×100m)の広い畑の真ん中で、満面の笑みを浮かべる。 バレンタインデーの前日、伊村農園では待ちに待ったジャガイモの収穫が始まった。前年の11月から12月にかけて植え付けた「メークイン」「ホッカイコガネ」「インカのめざめ」などを、生長にあわせて大切に掘り起こす。 収穫のあと、低温条件で一定期間貯蔵管理して熟成させて、でん粉が一部糖化してさらに甘みが増してから、出荷することになる。 昨年は雨が続き、4月中に収穫を終了する予定が、2ヶ月も延びた上に、収量も少なかったから、豊作への歓びもひとしおだ。 ●世界一のジャガイモをつくるためのこだわり農法 沖永良部は島全体が珊瑚礁でできていて、山の中腹でも海水のミネラル分をふんだんに蓄えた赤土の土壌が広がる。 この土を活かして、テッポウユリやフリージアなどの花や球根、サトウキビやジャガイモの栽培が盛んに行われている。しかし、土地がやせているので、作物の味はいいが収量が少ないのが農家の悩みだ。 農業で稼ぐには、化学肥料や農薬を使って、安定して多くの収量を確保することが必須。しかし伊村は、就農当初から無農薬・有機栽培にこだわる。 「消費者の大半が、口にするものには、安心安全を求めているから」。 ミネラル分を補充するために畑に海水やニガリを撒き、土中の微生物を増やすために米ぬかやコーヒーを鋤込んだり散布したりする。 誰もが安心して食べられる、世界一美味しいジャガイモを作るために、伊村はつねに試行錯誤を重ね、苦労や努力を惜しむことはない。 つづく |