そんな事があったんですか。
「よかったですねぇ」のやさしい笑顔が心に沁み入ったのですね。
分かります。
10月26日は、私の信仰している所の秋の大祭です。聖地と呼ばれるこの地に全国各地から何万という信者が、ここに集います。以前からたいていの暦に載っていると書いているので、こ存じの人もあるかも知れません。そして、私にとって恐らく生涯忘れられない日でもあります。29年前のこの日の夕刊に私を含む5人が載りました。もちろん、私たちは悪い事をした訳ではありません。雨上がりの25日、3人のボランティアの方に介助してもらい、大阪と和歌山の間にある550メートル級の山にハイキングに出かけました。行きはもう1人の脳性の友達の聴く日本シリーズを聞きながらスムースに歩け山頂で多めのおにぎりを食べました。そして、降りる段になり、友達は手をつないでもらうだけで簡単に歩けましたが私の方は2人に抱えてもらってもなかなかあるけなかったのです。そして、野球は「終わり」空は真っ赤になり、同じところをグルグル回っていることに気がついた時には真っ暗になっていました。もう私 を連れての下山を無理と判断野宿と決め5人がお互い、ひっついて横になりましたが、当時秋1番の寒さでお互い「寒い、さむい」。でも、新聞紙を懐に入れるとだいぶ楽になりました。空が白みかけた頃「ラジオ」のニュースで障害者2人を含むパーテーの捜索願が出ていることを知りました。そして、間もなく捜索隊に発見されるのですが当時国際障害者年だったこともあり、5,6機のヘリも加えての救助でした。泉佐野の警察署にはいとこの車で父が迎えに来ていたので帰りは居眠りしながら家に着きました。ゆっくり風呂も上がっていつも6時から見ていた『ワイドナウ』担当は当時毎日放送に勤務されていた若き平松邦夫アナウンサーの私たちのニュース原稿を読んだ後の「よかったですねぇ」のやさしそうなお顔をなぜか、今でも鮮明に憶えています。 |